ギリシャ・エーゲ海クルーズ⑥:久々の陸地でのんびりオリンピア観光
ノルウェージャン・ジェイドで行くエーゲ海クルーズ最終観光日。
今日は、オリンピック発祥の地、オリンピアでの遺跡巡りがメインの日です。
クルーズ船が到着するのは、ギリシャ本島のカタコロという港町。オリンピアは内陸にあるのでここからバスで向かうのだそうです。
実は、私も友人も特にオリンピック遺跡に興味がないので、カタコロの港で近隣のビーチにでも行ったりしてのんびり過ごそうか、と話していました。ギリシャの遺跡は物によっては魅力的ですが、大昔の武者達が汗をかいて体力自慢をしていた場所は特に・・・ということで。。
しかし、想像以上に閑散とした港街のカタコロ。寄港料が安そう。。
ギリシャ国旗とEU旗が迎えてくれますが、そういえばギリシャではEU旗をよく見かけます。西欧諸国ではほとんど見かけることがありませんが。。絶対離脱しないぞ!という意思表示の現れでしょうか。
港の入り口の小さな案内所で聞いても、オリンピア以外には特に観光場所はなさそうです。
そしてこれが港前の最も栄えているはずの町の中心。。
唯一賑わいを見せているのは、オリンピア行きのバスの発着所です。
通り過ぎようとすると「今日の最後のバスの出発便だよ!」と勧誘されました。うーんやっぱりこの町はオリンピア観光のためにある町なのかなあ。。
ということで結局初志貫徹できず、他の乗客と同様にバスに乗ってオリンピア観光に出かけることにしました。オリンピアに向かうバスの車掌はごく普通のギリシャの田舎の街並や緑豊かな風景が見えて悪くなかったです。
オリンピアのバス発着所に到着。
オリンピアは緑豊かな森林地帯にあるようです。今までさんざん海を見てきましたから、山岳リゾート風の風景が新鮮。
オリンピア遺跡前のカフェのある公園も木々がさわやかで落ち着きます。
カフェで一休みし、チケットを買って入場です。
広大なオリンピア遺跡。
まだ遺跡発掘中の場所もあるようです。
どれが何の遺跡やら分かりませんが、木々が多くて日陰もあるのでピクニック気分で散策するには快適です。
これはフィリペイオンと呼ばれる、マケドニア王フィリッポス2世が戦争の勝利を記念して建てたモニュメントだそうです。
こちらは神殿跡でしょうか。
真ん中に穴の空いた大量の円柱も、何かは分かりませんが木々が綺麗。
オリンピア遺跡の敷地の端にあるアーケードをくぐると
学校の校庭のような砂場のスタジアムが広がり、ここで皆よーいドンの体勢をとって走ったりしていました。
スタジアムは芝生の丘に囲まれており、芝生が観客席となって徒競走の様子などを眺めていたようです。
その他にも敷地内には色々と遺跡があり、ガイドツアーやオーディオガイドなどで説明を聞けば、当時のオリンピックのエピソードなど色々分かって有意義だったことでしょう。
しかし私はあまりオリンピックに対する情熱がないのでよく分からないまま退散。遺跡のことは分からずとも緑あふれる気持ちのいいオリンピア遺跡でした。
オリンピアには、お土産屋さんが立ち並ぶこぎれいなショッピング通りもあります。
これはギリシャ伝統の陶器を売っているお店。
その他ギリシャ風の洋服屋さんや天然オリーブ化粧品屋さん、緑に囲まれた素敵なカフェなどがありとても気持ちのいいオリンピアの街でした。特に洋服屋さんはお洒落で、友人はギリシャ伝統の服をギリシャ人デザイナーが現代風にアレンジしたという素敵なワンピースを買っていました。
さて、復路のバスでカタコロの港に帰ってきました。
カタコロの港沿いにはシーフードレストランが立ち並んでいます。我々もそろそろ遅めの腹ごしらえを。
海沿いのレストランでシーフードの揚げ物とパスタを注文。味はまあまあでした。
カタコロの港にもギリシャ伝統衣装のワンピースが売られています。子供用のが可愛らしい。
その他、港の裏通りには可愛らしいお土産屋さんも立ち並んでおり、カタコロで一日はつぶせないけどオリンピアの帰りに立ち寄る港としては悪くない風情でした。
なんだかんだでオリンピアもカタコロも満喫してノルウェージャン・ジェイドに帰宅。
ということで、エーゲ海クルーズ最後の立寄先であったカタコロとオリンピア。日程を見たときには正直なんでこんな地味な寄港先が入っているのだろうと思っていましたが、コルフ、サントリーニ、ミコノスと、ドカンドカンとビッグなビーチリゾートが続いた後で、特に気合いを入れる必要のない内陸のオリンピア滞在は最後にリラックスできて案外良い滞在先だったように思います。
さて、いよいよクルーズも残すところ船内で過ごすあと一日だけ。次回はヴェネツィアで迎える感動のフィナーレです。
ギリシャ・エーゲ海クルーズ⑤:スーパーパラダイスなビーチ天国、ミコノス島
今日の寄港先は、美しいビーチに囲まれたパーティ島として有名な、ミコノス島です。
ミコノス島はサントリーニ島と人気を二分するギリシャを代表する観光島ですが、断崖絶壁のサントリーニ島とは異なりなだらかな平べったい島です。
朝8時にミコノス島到着。昨日サントリーニ島に出る際に待たされた経験から、今日は上陸時間前に出口付近に待機して上陸ほぼ一番乗り。
しかし、勇み足過ぎたか、この港からミコノスタウンの中心まで無料で乗客を届けてくれるバスの出発にはもう少し時間がかかりそう。
と待っていたところへ、商売上手なタクシーのおじちゃんがやってきて、「パラダイスビーチに20ユーロで連れて行ってあげるよ。朝に誰もいないビーチでゆっくりして、それからミコノスタウン観光、これがベストな日程さ!」と勧誘してきました。
最初に街の観光をしてから、日中の海が温かくなってきた頃合いでビーチで水遊びをしようかと思っていたのですが、確かにまずメインのビーチ訪問をすましてから街の観光をした方が気持ち的にも落ち着くし、交通的にも今すぐビーチに連れて行ってもらった方が楽です。
「パラダイスビーチではなくてスーパーパラダイスビーチに行ってもらえます?」「スーパーパラダイス!おお・・・!そこも見る価値のあるビーチだよ。ただし30ユーロかかるよ」
おじちゃんのスーパーパラダイスと聞いたときの反応が少し気になりましたが、商談成立。他の乗客に先駆けて、朝一のスーパー・パラダイスビーチに向かうことにしました。ミコノス島には島中に様々な有名なビーチがあってどこに行こうか迷ったのですが、スーパー・パラダイスビーチというのが島で最も洗練されたビーチ、と言われるらしいので、そこにすることにしました。うまく行けば、スーパーパラダイスビーチからボートでつながっているプロティ・ヤロスというもう一つの要所ビーチにも寄れるかもしれません。
ミコノス島を横断してスーパーパラダイスビーチに向かいます。ミコノス島はほとんどが平たい荒野のような島で、白くて四角い家々がぽつりぽつりと点在しています。
10分ほどでSuper Paradiseと書かれたエントランスの前に着きました。タクシーのおじちゃんにここで待ってて次のビーチに連れて行ってあげてもいいよと言われましたが、のんびりしたいのでお断りして、帰りはバスで帰ることにします。
門をくぐり、Super♡Paradiseと書かれたヘビさんマークのオープンカフェをぬけると。。
きゃー!!誰もいない、澄み切った青いビーチの前にソファベッドのサンデッキが並んだ、まさにスーパーパラダイスな空間が広がっていました。
禿げ山に囲まれたエキゾチックなビーチを友人と二人で独占状態です。
キラキラ輝く澄み切った水面。これぞエーゲ海のビーチです。
岩山に囲まれた入江になっているところも、典型的なギリシャや地中海のビーチらしい雰囲気です。
そして海中はこの透明度。水面がエメラルドグリーンに反射して幻想的です。
こんな素晴らしいビーチに我々二人だけ。。何て贅沢なひとときでしょう。タクシーのおじちゃんに従って朝一で来てよかった。おじちゃん、ありがとう!
しかし泳ぐにはまだ冷たすぎる朝の海。カフェでジュースを頼んでデイベッドに横たわってしばしのんびり過ごしました。人もちらほらやってきました。
その後、結構人が集まり始めましたが、それでも基本的に静かで大人な雰囲気のビーチでした。「島で一番洗練されたビーチ」という売れ込みもうなずけます。
ちなみに、このスーパーパラダイスビーチは別名ゲイ・ビーチとしても有名なようで、実際に男性二人がデイベッドでくつろいでいる姿なども散見されました。しかし、そんな男性カップルに、女同士の私と友人が同じサンデッキでくつろいでいる姿を写真に撮られており、逆に私たちもそういうカップルだと思われていたようです。
確かに朝一番に誰もいないゲイビーチで女二人ではしゃいでいたらそう見られてもしょうがないでしょうか。。もしかしてタクシーのおじちゃんが、スーパーパラダイスビーチに行きたいと行ったときに「おお・・・!」と感嘆していたのもそういう反応だったのかもしれません。女同士というのはゲイの世界でもまだまだレアでしょうからね。。残念ながら我々は違いますが。
ちなみに、このスーパーパラダイスビーチとボートで結ばれているというプロティ・ヤロスというお隣のビーチに梯子しようかと思っていたのですが、待てど暮らせどボートは来ませんでした。
午前中はボートは来ないのかもしれないということで、あきらめて正午前にビーチを去り街に向かうことにしました。
最高に贅沢なひとときが過ごせた午前中のスーパーパラダイスビーチでした。
さて、街の中心とビーチを結ぶヘビさんマークの小型バスに乗って、ミコノスタウンに向かいます。窓からスーパーパラダイスビーチの美しい入江の全体像が見られました。
ミコノスタウンの南のバスステーションに到着。島に上陸後、始めて目にする港とビーチ以外の街の光景です。白くて四角い建物ばかり。
しかし、海が見え隠れする小道を進むと。。
うおおお。またしても美しい海とビーチが広がります。
先ほどのスーパーパラダイスビーチとは違いここは名も無きビーチのようですが、それでこのレベルの高さはすごい。
どうやらこのミコノス島はそこかしこにこんな澄み切った美ビーチがありふれる、正真正銘のビーチ天国のようです。
整備された入江のスーパーパラダイスビーチも良かったですが、島周辺の広大な海を見渡せるこういう手つかずのビーチも迫力があって美しいです。
海を見下ろす場所に建つ小さなピンクの屋根の教会。サントリーニ島では教会と言えば青い屋根でしたが、ミコノス島ではピンクの屋根が特色なのでしょうか。
そして、ミコノス島名物の風車群の前にやってきました。
風車のある丘からの、ミコノスタウンと街を囲むエメラルドグリーンの海の眺め。向こう岸に我らがノルウェージャンのクルーズ船も見えます。
さて、丘を降りてミコノスタウンの中心に向かいます。
街の中心前にもこのビーチ。街が海にせり出しているような、海が街を覆っているような、とにかく海と街が一体化しているような島です。
振り返るとビーチを目の前にそびえ立つ風車群。
海沿いにはカフェやレストランがひしめき合います。
海にせり出すカフェでキラキラ輝く海を正面に見ながらお茶をする人々。
我々もそんな海沿いのレストランでシーフードランチをいただいてみました。ミコノス島のレストランは観光地価格で割高と聞いていましたが、まあその中でリーズナブルな物を頼むとこんなものかな、という感じでした。
しかしこの極上な海の景色を眺めながら食事ができるというだけで、十分満足でした。この海沿いのカフェやレストランは本当に気持ちがいいのでおすすめです。
さて続いては、少し海から離れて街の中を散策してみます。カラフルなお土産屋さんに囲まれた白い道が続くミコノスタウン。
お店はお洒落で、街並みは果てしなく可愛いです。
街中のオープンカフェもにぎわいます。
迷路のような複雑な道になっていることでも有名なミコノスタウン。路地を歩いていると。。
また海沿いに出ました!
そしてこの船が行き来する海沿いもまたたまらなく美しい。
サントリーニと同じ青いドーム屋根の教会もあるようです。
そして街に戻るとまた白い迷路道。
ちょっとお茶をして一息ついてみたり。
お洒落なワンピースのウィンドウショッピングをしてみたり。
また海カフェに出くわしてみたり。
とにかく楽しい、ミコノスタウンの迷路街。道ばたのソファでくつろぐおじさんも。
ギリシャ伝統のワンピース衣装を今風にして売っているお店もお洒落。
八百屋さんまでお洒落。
教会も華やか。赤い屋根の教会と青い屋根の教会は何か違うのでしょうか。
さて、そろそろミコノスタウンを抜けて、ゆっくりとクルーズ船の停留所までバスが出ているオールドポートに向かいます。
すると、この期に及んでここにも美ビーチが!
実は水着を着てきた私、午後になって水もだいぶ温かくなってきたしもう我慢できない!ということでこの名も無きビーチに飛び込みました。
港前のビーチだというのに、透明度は高いです。小さな小魚の群れが見えます。
岩と同じような色をした小型の魚もちらほら見えます。
ウニも散見されます。こちらでもウニを食べる習慣はあるのでしょうか。
いやー港までの通り道にある名も無きビーチなのにシュノーケル体験もできて大満足でした。ビーチ島のミコノス島で、最後に海に入れて良かった。
最後にこのビーチを眺めながらお茶ができる海沿いのカフェで、フレッシュジュースを一杯。本当に何て透明度の高い海でしょう。
そして海沿いを歩いてオールドポートまで行き、ノルウェージャンの乗客用に手配されたシャトルバスに乗って、クルーズ船が泊まっているニューポートに向かい、ノルウェージャン・ジェイドに帰りました。
ということで、ミコノス島は、ビーチ島と言われるだけあり、四方八方をクリスタルクリアーなエメラルドグリーンの海に囲まれた美ビーチだらけの島でした。名前がついたリゾート用のビーチだけでなく、そこら中に名も無き美ビーチが点在しているので、クルーズ船での短時間の立寄りだけでも、存分にビーチを楽しむことができます。
正直、ビーチに関してはモルディブに匹敵する場所はないと思っていた私でしたが、ましてやヨーロッパの海なんてたかが知れていると思っていたふしもあったのですが、このミコノス島のビーチたちはモルディブにも劣らないもの凄いものでした。というか白くて可愛らしい街並みが海に飲まれるような近さでビーチ沿いにそびえ立っているので、その迫力はモルディブ以上とも言えます。ミコノス島があの絶景のサントリーニ島に負けない人気を誇っている理由が分かった気がします。
ただ、ミコノス島はパーティ島とも呼ばれるように、特にミコノスタウンの海沿いはやや騒がしいです。ミコノス島の客層も、パーティー好きの明るい人たちが多いように思われ、リゾートではひっそり静かに過ごしたい根暗な私には、少なくともミコノスタウン周辺に関しては長くいたい場所ではありませんでした。なので、ミコノス島には、クルーズで立ち寄ったり、サントリーニ島を拠点にしながら一泊だけ遊びにきてみるなどして、その美ビーチたちを一目見てみるのが良いんじゃないかなあと思います。
さて、サントリーニ、ミコノスとメインの寄港地を満喫したこの次は、変わり種のオリンピア訪問です。
ギリシャ・エーゲ海クルーズ④:青と白の絶景再び、海から登るサントリーニ島〜ロバに要注意
今日の寄港地は、白い街と青い海の絶景コントラストで有名なリゾート島、サントリーニ島です。
断崖絶壁の火山島の上に白い街が密集するサントリーニ島。去年の6月にはここに来ることをメインのギリシャ旅行をしましたが(ギリシャ・サントリーニ&アテネ カテゴリーの記事一覧 - ビーチリゾートとヨーロッパの旅行記)、まさか1年も経たないうちにまた訪れることができるとは。。自分のリゾーターぶりが怖い。
島の中心、フィラの街の港にやってきました。既に別のクルーズ船、MSCが到着しているようです。
サントリーニ島のフィラの港は小さくて大型のクルーズ船が寄せ付ける場所はないので、島の近くに漂流し、島からやってくる2〜3台の小型船が何度も往復してクルーザーたちをフィラの街に送ります。
この小型船で全乗客をフィラの街に届ける作業はかなりの時間を要するので、港到着時間の2時間前に船内で配布される小型船乗客番号カードは早めに並んで番号の早いカードをゲットした方がいいです。私たちの船では13時半にサントリーニ島到着のスケジュールで11時半からカードの配布が開始されましたが、販売開始の10分前に行っても既に長蛇の列で(というかフライングで配布が開始されており)、私たちは8番目の小型船への乗船となり、フィラの街に着いたときは14時をとうに過ぎていました。もっと遅い番号の人たちは観光時間が削られて大変だったのではないかと思います。
フィラの港に上陸。ここからフィラの街に登るには、ケーブルカーを使うか、ロバに乗って登るか、自力で歩いて登るかの3択なのですが、ケーブルカーはクルーズ客で長蛇の列。しかし、さすが観光業の発達したサントリーニ、第4の選択肢、このままボートで北端のイアの港まで先に行き、イア観光後にフィラにバスで送り届けてくれるというボートトリップツアーが用意されていました。
イアにはどのみち行くつもりだったので、願ってもないツアーで申し込みを即決。ケーブルカーに並ぶ人々を尻目にフィラの街を後にします。いえーいさよならー。
イアへの移動を兼ねたサントリーニ島周遊クルーズ。前回来たときは空港経由で島の上の街の部分をうろちょろしていたのみだったので、こうして海から断崖の島を見上げられるのも新鮮です。
青いドーム屋根の教会が散見される華やかな白い町並み。あれはフィラとイアの中間にあるリゾーター愛用の街、フィロステファニでしょうか。
そして、前回もわざわざ陸路からタクシーでやってきた、ギリシャのプチ・アマルフィ海岸(と私が命名)、アマウディ・ベイに到着。
そしてボートから降りるとそのままツアーが用意していたシャトルバスに乗って、アマウディ・ベイの上にあるイアの街の入り口まで送ってもらえました。3時間後に再びここから今度はフィラの街までバスで送ってくれるとのこと。アマウディ・ベイも見れたし、何て効率のいいツアーなんでしょう。
さて、海が見えるイアの街のショッピング通りに向かいます。しかしサントリーニ島エクスカーションを申し込んだクルーズ客の団体に遭遇。私たちはエクスカーションの類には一切申し込まず自力観光をしていますが、エクスカーションだとこんな団体で行動しなければならないんですね。。申し込まなくて良かった。
この団体を避けて裏路地のような道から行くと、ギリシャらしくない毛がボリューミーな犬が日陰で休んでいるのを発見。キミも団体客から逃げてきたのかね。
そして、海沿いのイアの街に出ました。これぞサントリーニの絶景!また拝める日が来るとは。
相変わらず途方もなく美しいです。サントリーニの象徴、青いドーム屋根の教会と穏やかな紺碧の海。
眼下には、海に向かって広がる洞窟のリゾートホテルたち。
レース付きの白い天蓋。ここでウェディング写真でも取ると絵になりそうですね。
海沿いの白亜の教会も本当に綺麗。
ああ〜サントリーニ島に来てしまうともうこのままリゾートホテルに残して行ってもらってこんな海沿いのデイベッドでくつろいで過ごしたくなりますね〜〜
可愛らしいお土産屋さんたちも健在です。このアクセサリー屋さんもまた会えました。
こじゃれたお店が集まるお買い物天国のイアの街。私は観光先でお買い物をすることがないのですが、一緒の友人は小物から洋服まで色々と見て回って実際に買ってくれたので、私もタダでお買い物気分を味わうことができました。本当は友人のように、リゾート地でこそ普段買わない物を買って優雅に過ごすべきなんでしょうねえ。
お買い物をして海の見えるカフェでお茶をしてリゾート感満載のイアを満喫した後は、ツアーのバスで賑やかな島の中心、フィラの街に向かいます。バスから見える島の東側は西側とはうって変わって平らな田園。
お土産物屋さんが所狭しと並ぶがやがやしたフィラの街。
しかしこのフィラの街の断崖の絶景は圧巻です。
クルーズの集合時間まではまだ余裕がありますが、イアでお買い物をして十分満喫したので、フィラでは眺めのいいオープンカフェでゆっくり過ごすことにしました。
白い建物が敷き詰められるこの賑やかなフィラの街を眺めながら。
さて、カフェで絶景を眺めながらすっかり二度目のサントリーニ島に満足し良さを再確認したところで、近くのケーブルカーからおとなしく港に降りればサントリーニ島は永世に渡って美しい記憶のまま残り続けたことでしょう。しかし、大の乗り物苦手の運動音痴でありながら、友人の「ロバに乗りたい」という無邪気な要望をうっかり受け入れてしまったのが運のツキでした。
サントリーニ島名物、ロバタクシー。断崖絶壁のサントリーニ島の街では、港に降りるまでの交通手段としてロバが使われているのです。
まとめて御者さんがロバを引き連れて下った方が効率がいいためか、他の利用客が来るのを呼び込みしながら待つ業者のもとでかなり待たされましたが、下りで利用する人は珍しいらしく結局だれも利用せず、私と友人と御者の3ロバで下ることに。
臭いし、道は糞だらけだし、御者さんも正直ちょっと怪しいし、もう乗る前からかなり及び腰になっていた私でしたが、友人は「ロバ楽しみ♩」と天真爛漫。やっぱり乗るのね〜〜
で、いざ乗ってみると。案の定、というか想像以上に、めちゃくちゃ怖い、不安定。地面が高すぎる、振り落とされそうになる。普通の人なら難なく乗りこなせるから提供されているサービスなのだと思いますが、人の数十倍どんくさく、絶叫マシーン等には一切乗れないような私には猛烈に怖い乗り物でした。
「ぎゃ〜〜!!!怖い〜おろして〜〜ストップストップ!プリーズゲットミーオフー!!!」
と本気で泣き叫んでしまいました。
怪訝な目で私を見る道行く人たち。御者のおじさんもあきれながら「落ち着け、大丈夫だ」と言って気にも留めずどんどん進もうとします。しかし、ロバが動くたびに怖いしカーブするときなど振り落とされるのではないかと脅える私は、何よりこんな取り乱した自分を乗せたロバもびっくりして通常と違う動きをしてしまうのではないかと本気で身の危険を感じ、半ば御者のおじさんを恫喝するようにまくしたてて、結局途中でロバからおろしてもらいました。御者さんが気分を害したのか分かりませんが、申し訳ないことに、私の反応にビビりつつもロバ乗りを楽しんでいた友人までそこで御者さんにロバから卸されてしまい、御者さんはその場で切り上げてロバとともに坂を上って帰って行ってしまいました。
ということで、友人と二人でとぼとぼと歩いて港までおり、小型船に乗ってクルーズ船に帰りました。
ロバ乗りの恐怖と取り乱したことへの情けなさと恥ずかしさで、その夜はクルーズに帰ってからもしばらく放心状態で、夜のジャズコンサートに行って元気をもらってようやく少し回復できました。でも何であんな恐ろしい乗り物に普通の人は乗れるんだろう。という疑問と自分は高所恐怖症か何かの病気なのだろうかという悩みで悶々とした夜でした。
ということで、サントリーニ島は変わらず美しかったですが、最後の最後でトラウマができてしまった2度目の訪問となりました。私のように絶叫マシーンが苦手だったり運動技術に自信のない皆さん、サントリーニ島に行ってもロバに乗ることについてはくれぐれも熟考の上決めた方がいいと思います。
さて、気を取り直して、明日は、今回のクルーズで一番楽しみだった、サントリーニ島と人気を二分するギリシャのビーチ島、ミコノス島です。
ギリシャ・エーゲ海クルーズ③:西欧とギリシャが融合する伝統のビーチリゾート、コルフ
今日は、最初の寄港先であるギリシャ北西に浮かぶ島、ケルキラ島(通称コルフ)観光の日です。コルフは正確にはエーゲ海ではなくイオニア海に浮かぶ、エーゲ海の小さな島々よりはサイズの大きな島です。その場所柄か西欧諸国の支配下にあった歴史もあり、世界遺産に登録された町並みは西欧とギリシャが融合した美しさを持つことで評判だそうで、西欧で古くから人気のリゾート地のようです。島の各地にビーチリゾートが点在していますが、今回は半日だけの立ち寄りなので、コルフ市街地を中心に観光します。
朝起きると、部屋のバルコニーからケルキラ島が近づいているのが見えます。
バルコニーのチェアに座りながらのんびりと島に到着するのを待ちます。は〜〜寝て起きたら島に着いているなんて何てらくちんなんでしょう。。もう自力での旅行ができなくなりそうです。
コルフの港、ニューポートに到着。
早速船を出て観光を始めます。クルーズ主催のツアーに申し込んでいる乗客もいるようですが、私たちは無計画に自主観光です。
どこの港もそうでしたが、クルーズ船が止まれる港はとても大きい。街の中心から遠いことはないですが、微妙に旅行ガイドの圏外なので、どうやって街に行けば良いのかも良くわからないけれど、とりあえず人の流れについて行きます。
この港では最初に検問所のような所を通過しました。
でも、クルーズのカードさえ持っていれば、ウェルカム・クルーザー!でほとんどノーパス。
検問所を出て少し歩くとバス停があり、そこの16番のバスが市街地の新要塞の近くまで行ったり来たりしていましたので、それを利用。
バスはオールドポート前の、大きな広場に着きました。
広場を渡ると旧市街地へと入り、古いけど味のあるこちゃこちゃした路地に通じます。
ピンクの壁に何とも奇抜で可愛らしいミツバチ達の落書き。
街にはアクセサリー屋さんを中心に、お洒落なお店がずらり。ターコイズブルーの石のアクセサリーはとてもギリシャらしいです。
オールド・ポート前のネオ・フルリオと呼ばれる新要塞への入り口を見つけたので、コルフの街の全体像を見渡すべく登ってみます。
16世紀後半に建てられたヴェネツィア支配下時代の要塞だという新要塞。何だか荒涼とした岩レンガ作りの原始的な要塞です。
当時使用されていた部屋など(でも岩素材の無機質なもの)も見学しながら登って、要塞の頂上にやってきました。
ここからは、海沿いのコルフの町並みを一望することができます。
ヴェネツィアの支配を受けていた歴史から、石畳の狭い道路にヴェネツィア風の建物が密集しているというコルフの街。「ギリシャで最も美しい」との呼び声もあるそうです。
オールドポートとその前に広がる整備された広場も美しいです。
新要塞の出入り口には小さなカフェとデイベッドなどのくつろぎスペースがあり、チケットと一緒にドリンク一杯が無料で付いてきますので、帰り際にここで一息。
ジュースを飲みながら一息していると、他のクルーズ船の乗客の人たちがやってきて、「あなた達はノルウェージャンの人?私たちはコスタなの。」と話しかけてくれたので、お互いのクルーズ情報を交換して少しおしゃべりしました。コスタというのもノルウェージャンと大体同じ価格レインジのクルーズで、今回我々のノルウェージャン・ジェイドとほぼ同じような港を周遊しているのでよく船の姿を見かけます。「コスタはだめね、ノルウェージャンの方が船内のイベントが充実しているわ。コスタはイベントを抑えてその分色んな場所に寄るプランになっているのよ、だから観光する時間もあまりなくて今も集合時間が迫っているわ。だからもう行くわね!でもコスタは食事がおいしいし色々見れてお得よ!」と言ってコスタ組は早々と去って行きました。なんだかんだいいつつ自分たちのクルーズに満足している様子。クルーズの乗客はどの船の人たちも人生最高のときを過ごしている、という充実感に満ち満ちています。ところでコスタの人が言うように、コスタの食事はおいしいことで有名らしいです。
さて、他のクルーズ船の乗客とも交流ができて一息ついたところで、新要塞を後にし、旧市街の街中に向かいます。
旧市街歩きを再開。古ぼけた路地に古ぼけた教会の塔。でもやはりどこか味があって美しい街です。
海岸に通じるニキフォル・テオトキ通りに出ると、少し明るく洗練されたアテネのような町並みになります。カフェやショップが並び華やか。
そしてまっすぐ進むと、海岸前の大きな通りと広場に出ます。
海岸前には大きなスピアナダ公園が広がります。
公園を抜けると、きゃーーー!!眼下には青いビーチが広がります。特に名があるわけでもない単なる道の下の波打ち際なのに、とっても綺麗。これが名だたるギリシャの名門リゾート島の底力でしょうか。
海の透明度ももの凄く高いです。イオニア海、恐るべし。
そして、この海に浮かぶ目玉観光地がこちら、旧要塞、パレオ・フルリオです。
旧要塞には、海を架ける橋を渡って向かいます。
8世紀のビザンティン時代に作られたという旧要塞。
ただし現存する建物のほとんどは16世紀以降に作られたらしく、敷地内に教会やレストランもあり、新要塞に比べると華やかです。
そしてあっと驚くのが、要塞の敷地を下側に下るトンネルを抜けると。。
きゃああああ。えも言われぬ美しいビーチが広がります。
こ、ここはモルディブ・・・?
もの凄い透明度の綺麗な海。水平線の先にはギリシャ本土がうっすらと姿を見せます。
こんな海の絶景が、ふらっと立ち寄った要塞の敷地で見られるなんて。。コルフ島、レベル高すぎます。
このビーチは存在に気づいた者たちだけのパラダイス。しかし水着持参でくつろいでいる強者もいます。私も着替えて泳ぎたい。。
まるで要塞の中の秘境ビーチリゾートでした。
さて、今度はそんなビーチを見下ろしながら、更に要塞を取り囲む海の全体像を見るべくせっせと要塞を登ります。
旧要塞前の、マンドラキ港も一望しながら登ります。
ひーこらせっせ。頂上まではまだ一山あります。
しかしこの辺りになると、海に囲まれるコルフの街も見え始めて何だかもの凄いことになってきます。
あの頂上めがけて、あとわずかです。
そして登りきった暁には、コルフの街と街を囲むガリツァ湾が見渡せるこの展望。
こちらは旧市街地方面。クルーズ船が止まっているニューポートも見えます。というか我らがノルウェージャン・ジェイドがはっきりと見えます。クルーズ船、大きいんですねえ。
イオニア海の海は、深くはっきりとした青で、浅瀬が照らされるとエメラルドグリーンに光り、本当に綺麗でした。
苦労して登った甲斐のある素晴らしい頂上の眺めに満足し、旧要塞を下って行きます。
まるでモルディブのようなビーチに出会え、素晴らしい景色が見れた、大満足の旧要塞でした。
さてお腹がすいたので、再び旧市街地に入ってランチに向かうことにします。ギリシャらしくも西欧らしくもある華やかな通りを通ります。
ランチで利用したのは、ポルタ・レムンダPorta Remoundaという魚介料理がおいしいというタベルナ。とってもお洒落なオープンテラス席で。
ギリシャらしくタザキやグリークサラダも注文。しかし実は私はこのグリークサラダに添えられる濃厚なチーズがあまり得意ではありません。でもこの後出てきたこのお店のボンゴレパスタのムール貝は新鮮で絶品でした。今まで食べたムール貝の中で一番美味しかったかも。ここではひたすら魚介を食べることをお勧めします。
さて、この後は再び旧市街地の中心に行き、少しお買い物をして集合時間まで過ごしました。コルフのお店はとてもお洒落なところが多かったです。そして店員さん達が今日はクルーザーが大量に立ち寄る日、ということを把握しているようで、クルーズの集合時間なども気にしながらどんどんアドバイスをしてくれます。ギリシャの店員さんたちって気さくで楽しくて、寄ってこられても全然面倒くさくなくてとても素敵です。
そんな店員さん達に勧められたリゾートワンピースを(友人が)購入し、そしてクルーズ内で唯一「飲み放題」じゃない水を大量に買って、再びオールドポート前の広場からクルーズが止まっているニューポートに向かいます。他のクルーザーたちもわらわら集まってきていてちょうどいい時間のようでした。
ただいま、ノルウェージャン・ジェイド。
集合時間より少し早めに帰ってきたので、メインブッフェでソフトクリームをもらってきて、部屋のバルコニーでコルフの島を眺めながら出航を待ちます。
そしていざ出航。さよならコルフ、素晴らしい島でした。
旧要塞のビーチで見たモルディブのような島も前を通って過ぎ去っていきました。
ということで、コルフ(ケルキラ島)は、世界遺産の旧市街地はギリシャと西欧の両方の風情が感じられる美しい町並みだし、海岸沿いの街の周りはよどみなく美しい手つかずの天然ビーチに囲まれていて、知名度以上に満足度の高い素晴らしい島でした。特に旧要塞の中にあるビーチから見渡すイオニア海は絶景で、「地中海のモルディブ」(※著者にとってモルディブは最高の褒め言葉)と名付けたいです。コルフとその旧要塞、ぜひともおすすめです。
さて、次の寄港先は、青と白の絶景アゲイン、サントリーニ島です。
ギリシャ・エーゲ海クルーズ②:ノルウェージャン・ジェイドで過ごす道楽クルーズライフ
人生初の7泊8日のクルーズ体験。
まさか自分が海の上で飲んで踊って過ごすような道楽体験をすることになるとは思ってもいませんでしたが、今回はそんなクルーズ内での貴重な体験レポートを記録しておきたいと思います。
私が利用したノルウェージャン・クルーズラインNorwegian Cruies Lineというクルーズ会社、通称NCLのクルーズは、「フリースタイル」を売りにしている大衆価格のクルーズです。フリースタイルとは、ドレスコードがなく、レストランに固定席もなくパーティーの参加義務もなく、乗客各々が好きな格好で好きなように過ごしてよいというコンセプトのことのようです。素晴らしいです。最もそんな素晴らしいコンセプトがあると、私のような引きこもり体質の客は、ひたすら部屋にこもってゴロゴロしてしまうことについては後ほど。
クルーズの朝は、まずベランダに出てその日の海をチェックすることから始まります。
早起きすれば、海の日の出を見ることもできます。今回はエーゲ海クルーズですから、ギリシャの火山島の島々から日が昇り降りし、まるで神々の詩、の世界。波も終始穏やかで幸運でした。
その日の予定は、前日の夜に部屋の前のポストに配布される、デイリーペイパーに記載されています。寄港先の情報の他、船内でのイベント情報、レストラン情報などが記載されています。
レストランやカフェは全部で13カ所あり、このうち7カ所が利用無料、5箇所が数十ドルの追加料金で利用可能な要予約のフレンチや鉄板焼きなど、1カ所(寿司バー)がアラカルト料金での利用となっていました。私は、無料で利用できるレストランが7カ所もあるのだからという節約志向で、極力無料レストランを利用しました。
初日の朝に行ってみたのは、朝からきちんとテーブルごとにサーブしてくれるメインダイニングのグランド・パシフィックGrand Pacific。
確かにテーブルごとにしっかりサーブしてくれました。しかも無料なのでついつい色々と頼んでしまいます。
しかし、頼んでから出てくるまでに、もの凄く時間がかかる。しかもベーコンが固すぎる、フレンチトーストも固すぎる、ハッシュポテトは油っぽすぎる・・・ということでイマイチでした。無料レストランで、手のかかる朝食の大量注文を個別サーブすることの限界か。。?
もっとも、ここのメインダイニングにお昼に行ったときのコースメニューは悪くなかったです。お昼や夜は利用可能なレストランが増えてお客さんが分散するし、料理も作り置き可能なメニューになるから質が上がるのかもしれません。
この他、もう一つの無料のメインダイニング、アリザーAlizarに夜にコースメニューを食べに行ったこともありますが、そこもまあ悪くはないかなあという感じでした。
しかし、これらの無料メインダイニングより断然良かったのが、12階にある無料のメインブッフェ、グランド・カフェGrand Cafeのビュッフェです。
12階の、海を見渡す開放的な大きなブッフェレストランで、朝も昼も夜もメニューを変えて営業している上に、和洋中と種類も豊富で味も一番美味しかったです。しかもふらっと立ち寄ってささっと好きな物を取って食べて帰れるのでとても便利。まさに「フリースタイル」の象徴のブッフェ。
特に良かったのが、夜にあることが多かった、スタッフが塊を切り分けてくれる巨大なローストビーフのサワークリームソースがけ。お肉が赤みなのに柔らかくてとても美味しいのです。これがアメリカンステーキ肉というやつでしょうか。あと、毎日数種類はあるカレーも、本場インドの味で美味しかった。
中華もどれも良かったです。やはり中華には失敗がない。お醤油味とご飯を食べられて、旅行中和食に飢えることはありませんでした。飲み物については、本来は有料ですが、私たちは飲み放題プランだったのでアルコールとジュースは無料。ここの手作りサングリア、美味しかったです。
小腹が空いたらふらっとおやつの手動ソフトクリームをもらいにきたりして、このメインビュッフェには本当にお世話になりました。
その他、お昼なら、8階のラウンジにあるモダーノModernoというスープとサラダとサンドイッチの軽食バーもなかなか良かったです。小さなブッフェから自分で選んだ、ベジタリアンバーガーにサラダを添えてソースの代わりにアンチョビをかけたもの。ここの素材が一番新鮮だった気がします。
メインフロアの7階には、夜だけ営業している無料のジャスミンガーデンJasmine Gardenというアジア料理のお店もあります。その奥には寿司バー。
もっともここで食べた中華はイマイチで、先ほどのメインビュッフェのグランド・カフェで食べる中華で十分だと思いました。
ちなみに、唯一の有料アラカルトの寿司バーのお寿司。意外に普通で、悪くなかったです。ただ、2回利用しましたが私たち以外ほぼお客さんが居なくて閑古鳥状態で可哀想でした。我らが寿司が。。
同じく有料の鉄板焼きの方は瞬時に予約が埋まって最終日までキャンセル待ちが数十人ということでしたから、ここのお寿司はインターナショナルな乗客達のお眼鏡にかなわなかったのでしょうか。確かにマッシュルーム入りのみそ汁はどうかと思いましたが。。
この他、6、7階のメインフロアや最上階のディスコフロアのバーではカクテルをその場で作ってもらって飲み歩けます。船内のアルコール類は結構値が張るので、直前セールの飲み放題プランになっていて本当に良かったです。
ちなみに、飲み放題プランは少しトリッキーで、税込み11ドルまでのアルコール&ジュースなら飲み放題ですが、11ドルを超えると超えた部分は追加チャージされます。また、コーヒー紅茶類や、水は飲み放題の対象外なので要注意です(部屋の冷蔵庫の水も有料)。
さて、船内は飲んで食べて過ごすだけでなく、様々な娯楽施設や催しがあります。特に最初の数日間は豪華イベントが目白押しでした。
船内には大きなシアターがあり、日中にはここで何かしらショーが開催されていました。
例えば、ブロードウェイのゲストキャストによる歌&トークショー。ザ・アメリカン!乗客もほとんどがアメリカ人なのでノリも良かったです。
変わり種の行事もあります。ギリシャの最初の寄港先、コルフに着く前日に行われた、ギリシャ語&ギリシャ文化講座。
夜は毎晩共用階の至る所で音楽ライブが開催されます。
これは7階のレセプション前のバー&ロビーでのジャズバンドコンサート。
こちらは、6階のバーでのシックなピアノ弾き語りコンサート。この演奏者の女性はとても人気で、お客さんのリクエストに答えて次々とどんな曲でも弾きこなしてしまってプロだなあと感動しました。
13階のクラブバーでは、毎日ノリノリのディスコパーティ。
怪しい雰囲気を醸し出すカジノもあります。
利用しませんでしたが、マシーンから人相手のカードゲームまで一通り揃っていたようです。良く知りませんが。
その他、朝のホットヨガから乗客参加のカラオケ大会まで、ありとあらゆる行事が毎日どこかしこで行われていました。
共用施設も充実です。屋上にはテーマパークのようなプールエリア。プールでは主に子供達が遊んでいました。
大人達は船の周りのチェアでひなたぼっこ。
咽が渇いたら船の先頭のオープンスペースで海風を浴びながらお好きな飲み物を。
7階のメインフロアにはショップもあり、宝石に時計に衣類などから日用品まで、一通り買いそろえることができました。
さて、そんな充実の施設と行事が目白押しの船内で、私が主にどうやって過ごしていたかというと。
バルコニーで海を見ながら雑誌を読んでゴロゴロ。たまりません。
移ろい行く海の色。朝焼けに始まり
快晴の日中。
日の入り。
他の船を見つけたり。
バーで頼んだカクテルを持ってきて飲んだり。極楽です。
寒くなったら、お部屋に入って更にゴロゴロ。
バルコニー&お部屋が快適すぎて、もともと引きこもり体質の私はほとんど行事に参加することもなく、雑誌や本を読んで過ごしました。船の中で過ごすしかなく、しかもネットも通じない(有料の使い放題プランを申し込んだので一応使えましたが、モバイルではとても遅いしパソコンをつなぐと重すぎて動かなくなります)という環境では、普段なかなかゆっくり時間が取れない読書などがはかどって、その点でもとても貴重な船の旅でした。
ということで、クルーズ旅行は、行事が盛りだくさんで活動的な人はいくらでも遊んで過ごせるし、また私のような不活発な者でも自分なりの静かな過ごし方ができます。そして知らない間に目的地にたどり着くという、何とも魔法のような、人を横着にさせる魅惑の船です。今までの地べたを這いずり回っていた旅行は何だったのか。。という危険な思いすら芽生えて来ます。
さて、次回からはそんな魅惑の船で向かったギリシャの島々を綴ります。
ギリシャ・エーゲ海クルーズ①:ヴェネツィア発、極楽クルーズで巡るギリシャ諸島ホッピングの旅
クルーズ。ーそんなものは怠け者のお金持ちの道楽か、引退して余暇を楽しまれるご老夫婦の旅行のための交通手段、だと思っていました。
まさかそれに、自分が乗る日がやってくるとは。
しかし日本からはるばるゴールデンウィークの連休と有給を駆使してやってきてくれる友人の、「ギリシャ」で「ゆっくり」したい、という希望と、もう一度「ギリシャ」の「島々のビーチ」を巡りたい、という私の欲望を、同時にかなえてくれるもの、それはギリシャの島々を巡るエーゲ海クルーズしかありませんでした。
しかも調べてみると、クルーズって最近は大衆化しているらしく、そんなに目が飛び出るほど高額なわけじゃないんですね。むしろクルーズ滞在中の同じ日数を、クルーズ船が立ち寄るようなヨーロッパの高級リゾート地のまともなホテルで過ごすより、遥かに安いといっても過言ではありません。結局、土地代って一番高いんですかね。
ということで、友人とエーゲ海クルーズに出発することにいたしました。
ギリシャに立ち寄るクルーズで、友人がやってくる日程で選択可能なクルーズは一択だったので選びやすかったです。それはノルウェージャン ジェイド Norwegian Jadeというクルーズ船の、ヴェネツィア発着の7泊8日のエーゲ海クルーズ。手配は、旅行を決めたのが一週間前という直前だったので、ネットで見つけたアメリカの下記のクルーズ予約会社で行いました。
多くのクルーズ会社のクルーズを複合的に扱っているサイトで、電話は24時間対応、一度相談すると専属のコンシェルジュが付いて予約から出発まで色々と相談に乗ってくれるので、とても便利でした。価格も、そんなに他社と比べた訳ではありませんが、少なくともNorwegian社から直接予約するよりも割安でした。しかも今回は直前だったためか、船内のアルコール&ジュース飲み放題のサービスが付いていました。クルーズ内は食べ物は無料でも飲み物代で最後の清算が跳ね上がると聞いたことがありますので、これはお得です。日本からクルーズを予約するとすると旅行会社を使うのでしょうかね(しかし少なくとも1週間前の直前だと、日本のクルーズ専門旅行会社では予約は閉め切られているようでした)。クルーズはアメリカで最もポピュラーなので、規模の経済が働いてアメリカの会社の提供する価格が最も安いのではないかなあと思ったりしますが、クルーズ発着都市までの航空費を入れると日本の旅行会社の方が良い場合もありそうですね。
さてクルーズ市況考察はこのくらいにして、ウキウキのクルーズの日程は以下の通り。
1日目・・・18:00:ヴェネツィアから出発
2日目・・・終日:海でのリラックス・デー(要は一日移動)
3日目・・・8:00〜15:30:コルフ(ケルキラ島)、ギリシャ
4日目・・・13:30〜22:00:サントリーニ島、ギリシャ
5日目・・・8:00〜18:00:ミコノス島、ギリシャ
6日目・・・9:00〜18:00:オリンピア(カタコロ)、ギリシャ
7日目・・・終日:海でのリラックス・デー(要は一日移動)
8日目・・・8:00:ヴェネツィア着
行ってみたかったヨーロピアン伝統の元祖・ギリシャのリゾート地、コルフが入っています!そしてビーチラバーの憧れのビーチ島、ミコノス島も!サントリー島は一度行きましたが人生でもう一度あの絶景が拝めるなんて。。最後のオリンピアはあまり興味ありませんが、まあ、一つくらいは遺跡があっても。
最初と最後の丸一日ずつを終日船でゆっくり過ごせるのも、のんびりできて悪くない行程です。クルーズの中には、同じ日数で上記に加えてクロアチアに行ったりトルコに行ったりするような盛りだくさんなクルーズもあるようでしたが、そういうクルーズは毎日休みなくどこかに立ち寄ってかつ立ち寄り時間も短い感じでしたので、それよりは寄港先を絞ってゆったりできる方が良いです。ギリシャオンリーではありますが、それもまた贅沢というもの。
前置きが長くなりましたが、いざ、クルーズ旅行に出発です。
日本から来る友人と集合したミラノから、発着港であるヴェネツィアまで、イタリアの高速鉄道frecciargentoで向かいます。ミラノ中央駅のホームは立派です。
2時間半ほどで、ヴェネツィア・サンタルチア駅に到着。2度目のヴェネツィアです。こんなに早くまた訪れることになるとは。
しかし今回は、ヴェネツィアの風光明媚な水辺の街を見ることが目的ではなく、ヴェネツィア本島の端にある大型船のターミナルに向かうことが目的です。船のターミナルには水上バスのヴァポレットも出ていないし、水上タクシーで行くとめちゃくちゃ高いので、徒歩&専用モノレール?を駆使して行くしかないです。しかもモノレールの駅まで段々の橋をスーツケースで渡ったりしなければならず結構大変。しかし需要のある所に供給ありで、10ユーロで専用モノレールまで荷物を台車に乗っけて持って行ってくれる業者さんがいました。助かった。
これがモノレールの駅。どうやらヴェネツィア・メストレ駅の方から、本島の周辺を走っているモノレールのようです。もしかしてメストレ駅で乗り換えた方が簡単だったのかも。
ヴェネツィアのガイドブックなどには載っていない圏外エリアなので、よくわからず周りの同じくクルーザーと思われるスーツケース持参の人たちも「これは駅なの?」「クルーズ発着所はどこ?」と右往左往していました。
モノレールに乗ると、眺めの悪くないベネツィアの水辺を走りますが、わずか1駅で船のターミナルの最寄り駅に着き降車。普通の陸の街なら本駅からタクシーですぐいけそうな距離ですが、さすが水路の街ヴェネツィア、交通は効率悪いです。
最寄り駅に降車後もだだっ広い船のターミナルを結構歩かされます。ありました、Norwegianクルーズはあちらのマーク。ここはクルーズ専用の発着所のようです。
ようやくノルウェージャンの発着所にやってきました。列に並んで、チェックイン手続きを行います。
クルーズの出発は18時なのですが、12時からチェックイン開始で、16時までには全員乗船していることが求められていました。私たちは13時頃にヴェネツィアに着き、チェックインを終わらせてから少しヴェネツィア観光をして16時までに船に戻ればいかな、という計画でいたのですが、とんでもなかったです。クルーズ発着所は辺鄙な場所にあってヴェネツィアの中心まで結構かかるし、チェックイン手続きも1〜2時間かかります(下のような船の前の大きな建物の中で、順番に乗船を待たされます)。運営側としても、チェックインしてから再び船の外に出ることは想定していないようでした。
ようやくチェックイン手続きを終わらして、いざ船へ。おおーー船は大きいです。
ずらりと並ぶ客室のバルコニーとともに、救命ボートも並んでいます。いざというときは全員を収容できるのだそうです。
船内に入ると、船の操縦士さん達がお出迎え。赤い絨毯の引かれた豪華な船内で、早くも乗客達がくつろいでいます。
大型ホテルのロビーのような、広くて豪華なレセプションエリア。クルーズ初体験の私たちは豪華な船内にぱちくりしていますが、既にソファにかけてリラックスモードで社交をする乗客の皆さん。クルーズってリピーターが多いらしく、このクルーズも7割以上がリピーターだったようですから、皆さんもう慣れてるんですね。
船は13階建てで、上のような広いロビーのようなエリアが6階、7階及び最上階にあり、上の階は主に客室、下の階は客室の他エンジンなど船の機関部分が占めているようでした。船の中央及び両端には赤絨毯の立派な階段。
エレベーターまであります。ここはホテルです、と言われても全く違和感がありません。クルーズは「動くホテル」と言われるそうですが本当ですね。
さて、いざ我々の客室へ。私たちの客室は11階。客室階の廊下、長いです。
客室には窓のない内側の客室、海が覗ける窓だけがある客室、そしてバルコニー付きの客室がありますが、我々は移動中も海を満喫したかったので、バルコニー付きのお部屋にしました。
お部屋は綺麗で、収納スペースが豊富にあり、ベッドも寝心地が良く大変快適でした。陸地のホテルと比べても全く遜色ない、むしろ4つ星以上のレベル感でした。
しかもちょっと奮発して、19平米の通常のバルコニー部屋ではなく、27平米の「ミニスイート」と呼ばれるバルコニー部屋にしたため広かったです。違いはこのソファ部分があるかないか。
また、ミニスイートにはお風呂にバスタブが付いていたのも嬉しかったです。お湯の出ももの凄く良くて気持ちがよかった。排水とかどうしてるのでしょうか、ただ垂れ流していないと良いけど。。
タオルもふかふかで、バスローブとスリッパも付いていて、全く不満のないパーフェクトに近いお部屋でした。ただ石けんやシャンプーの品揃えは悪いので(石けんがなく固定された液体ソープだけ)、それらは持参した方がいいかもしれません。化粧水なども当然ないです。
そしてこのお部屋のバルコニー。
今見えるのはヴェネツィアの船ターミナルですが、これからエーゲ海を見渡しながらここで7日間も過ごせると思うと、期待が高まります。
さて、これから「出航セレモニー」があるというので、会場である船の屋上に行ってみます。プールもある遊び場になっている船の屋上で、すでに大勢の人が集まってダンスをしたりジャグジーに浸かったりしています。
バーベキューなど食べ物も振る舞われていました。船内では基本的に食べ放題です。
喧騒を離れて、船の最も高い展望台部分で景色を見渡している人々もいます。
ついに船が動き出しました。出航です。ターミナルを離れて、美しいベネツィアの街が見えてきました。
「出航セレモニー」とは、皆でヴェネツィアの街を見ながら船の門出を祝うことだったんですね。オープンテラスで一杯やりながら街を臨む人々も。
船の先頭に行くと、ヴェネツィア本島と対岸の島の間の水路をかき分けて進む光景が見られます。この水路は以前ヴァポレットでも通りましたが、大きなクルーズ線の最上階から眺める景色は別格です。なぜギリシャの島々に行くのにヴェネツィアから行くんだろう。。と思っていましたが、この発着のヴェネツィアの町並みも、クルーズの売りの一つなのかもしれません。
サンタ・マルコ広場に近づいてきました。
船の先頭で他の人々と景色を見る場所の確保を競いないがら背伸びをしていたとき、ふと友人が、「そうだ!私たちには部屋のバルコニーがあるじゃない!!」と叫びました。あ、本当だ!!
急いで部屋に戻ったら、案の定、バルコニーからどかんと見えてました、サンマルコ広場沿いのドゥカーレ宮殿。
人を押しのける必要もなく、優雅にチェアに座りながらヴェネツィアの街が過ぎるのを見届けることができたバルコニー。やはりバルコニー付きにして良かった。
ということで、ヴェネツィアの街を優雅に見下ろしながら出発したエーゲ海クルーズ。次回から、その極楽な船での生活と、立ち寄ったキラキラ輝くギリシャの島々の記録を綴って行きます。
イタリア・ミラノ③:スカラ座でトゥーランドット〜誰も寝てはならぬプレミアな夜
年末年始のプラハでオペラの良さに目覚めた私。せっかくミラノに来るのなら、ぜひともオペラの殿堂、スカラ座でオペラを見てみたい。
しかも、我々の滞在中はあのプッチーニのオペラ「トゥーランドット」が上演されていました。トゥーランドットと言えば、男性の主役が歌う「誰も寝てはならぬ」の旋律がとても美しくてオペラの代表曲の一つのようなものですし、スケートの荒川選手がトリノオリンピックで金メダルを取ったときのプログラムでもある日本人にもなじみ深い曲です。それを本場スカラ座で聞けるなんて、このチャンスを逃したら一生後悔するかもしれません。
ということで、ミラノ旅行を決めた一週間前の直前にどうにかチケットを入手して、ミラノ・スカラ座に行って参りました。[☆チケット入手体験記は末尾に記します]
こちらはお昼に下見に来たときのスカラ座の姿。
壁に貼られていた今夜開幕のトゥーランドットのプログラム。これを見られるんだ。。と思ってわくわくして夜まですごしたものです。
しかし、いざ夜にやってくると、何やらスカラ座前が警備員だらけの厳戒態勢で、回り道をしてチケットを見せてようやく近くの道路に入ることができる状況でした。そしてスカラ座の入り口前はこの人だかり。
どうやら、イタリアの首相も観劇にやって来る日だったらしく、そのための厳戒態勢のようです。そして偶然にもイタリア首相が入場する瞬間に立ち会えました。
正面を横切る瞬間を撮れました、イタリア首相、マッテオ・レンツィ氏。若いんですね。
今日は図らずも、トゥーランドットの公演初日、しかもミラノ万博開幕日だったので、どうやら特別なプレミア公演だったようです。
そのため、マスコミが押し寄せていて、テレビ中継が行われていました。
今日の公演の模様は、イタリア全土で生中継されていたようです。まさに記録に残るプレミア公演だったんですね、感激。
さて、そんな特別な夜のスカラ座の、自分たちのボックス席へ。。うわあ。壮観です。舞台意外の会場を見渡すことも、一つの「ショー」のようなレベルです。
正面のバルコニー席にはイタリア首相一家。左端の白いティアラをした可愛らしい娘さんは、まだ幼いせいかオペラがつまらないらしく、終始ぶすっとしていて首相がご機嫌を取っていて微笑ましかったです。
こうして大衆に見られてしまうのもバルコニー席のロイヤルデューティーですね。。かつて貴族達が社交のためにオペラに訪れていた時代には、各ボックス席に陣取る貴族達が他の客から「見られる」ことも一つの重要なショーだったそうで、豪華なドレスを着てはり合っていたんだそうです。
さて、そんなショーとは無縁な隅っこのボックス席の我々の心配事は、ちゃんと舞台が見られるかどうかですが、この通り、端っこは少し切れますが悪くない視界です。
しかしそれも一列目を確保したからこそ。我々のボックス席は2列4席からなるボックスで、私と友人が1列目を占拠しましたが、2列目の人たちは普通に座っていたら明らかに我々が邪魔でほとんど舞台が見られない席でした。しかし、どうやら我々の後ろに座っていた男性二人組はいわゆる「天井桟敷」※と呼ばれる人たちのようで、そんな席でどうやって舞台を見るかも手慣れた様子で、ぐいぐい我々に覆いかぶさるように乗り出してきてしっかり舞台を見ており、しかも時々役者と一緒にメロディーを口ずさんだり、「ちっ!」とか「わお!」とか評価を歓声にして表現していました。
※「天井桟敷」というのは、年間チケットを買って毎日のようにギャラリー席に通いつめる目の肥えたオペラオタクのことで、素晴らしい演技には歓喜乱舞の大歓声をおくる一方、不出来な演技には「恥を知れ!ここはスカラ座だぞ」等と言ってブーイングをするような人たちのことだそうです。スカラ座の天井桟敷はとりわけ厳しいとか。
さて、公演初日の行事なのか知りませんが、最初に全員起立してイタリア国歌を斉唱した後、いよいよトゥーランドットが始まりました。写真は会場で購入したガイドブックより。
このとおり、とても斬新な、ゾクゾクするような舞台セットや衣装でした。氷のように冷酷無比な姫・ドゥーランドットに一目惚れし、失敗すれば処刑されることを覚悟の上で姫の結婚相手に名乗りを上げ、姫が用意する謎解きに挑む異国の王子・カラフ。
このカラフの挑戦を見守る「群衆」の表現方法が独特で秀逸だと思いました。皆が一様に黒い服と黒い帽子に同じ仮面をつけたような不気味な集団。
姫の配下の官僚達にいたってはピエロの格好をしています。「聴く」だけでなくヴィジュアルで楽しめる比率の高い舞台でした。
ちなみに、近年の各国のオペラ座では舞台の上に字幕が表示されることが多いですが、最後までその流れに逆らっていたというスカラ座。ついに導入されたのは、各席の前に表示される小さな字幕だったようです。イタリア語と英語が選べますが、これを見ていては舞台が見れないので、スカラ座でオペラを見る場合は、できるだけ内容を覚えて行った方が良さそうです。
トゥーランドットには2回休憩が入りましたが、その度に休憩会場に出て、貴族の社交場のような雰囲気にびびりつつも酔いしれました。今までヨーロッパの各地で行ったコンサート会場やオペラ座ではカジュアルな格好の人が多くて今更コンサートで正装なんてしないのかな、と思っていたのですが、ここスカラ座では、プレミアム公演だからかもしれませんが皆びしっときらびやかに決めていました。ちゃんとワンピースを持ってきて良かった。。
シャンパンやジュースも休憩時間の楽しみの一つです。良心的な価格でした。
生中継中のテレビは、休憩時間は批評タイム。
すぐそばで撮影されている司会者たちのやり取りが、会場に設置されたテレビで放映されていました。しかしそんなことに感動しているミーハーは私くらいのもので、皆テレビ局の撮影など気にも留めず社交に興じていました。すごい世界だなあ。
ちなみに私と一緒に旅行中の友人は、実はもの凄いべっぴんさんなのですが、彼女は私が目を離した隙に(?)地元テレビ局のインタビューを受けていました!さすが美女は万国共通で一目を引くようです。しかし英語インタビューでさすがにビビった美女友人、「今回のオペラはどうですか?」と聞かれ、「トゥーランドット イズ ワンダフル」と答えて逃げてきたようです。よくやった。カットされずに顔だけでも放映されたことを祈ります。
さて、物語もいよいよクライマックス。この炎の前で舞うリウという悲劇のヒロインは、主役ではないのに主役のトゥーランドット姫より遥かに観客の心を掴む役柄だからかもしれませんが、この役を演じていた女性歌手へのフィナーレの挨拶での拍手喝采が他の誰よりも大きかったです。
主役のトゥーランドットやカラフの役者よりも遥かに大きな「ブラボー!」の嵐をもらっていたリウ役の若い女性歌手。スカラ座の耳の肥えた観客の心を掴んだのでしょうか。しかし、今まで行ったオペラとかバレエとかでは、観客はちゃんと順番通りに主役に近づくにつれ拍手を大きくしていき、主役に対して最も大きな拍手を送るのが「礼儀」のような雰囲気があったのですが、スカラ座の観客はさすが批評精神に正直で怖いなあと思いました。トゥーランドット役の女性は拍手の小ささにご機嫌を損ねたのかお辞儀も早々に去って行った気がしました。もっとも、私が素人耳で聞いた限りでは、主役のトゥーランドット姫の方がリウ役の女性よりも声の幅が広くて穏当に上手な気がしたんですがね。
いやはやしかし、今回のスカラ座でのトゥーランドット鑑賞は、華やかで、公演内容も素晴らしく、想像以上のスペシャルな夜になりました。スカラ座が現代舞台装置で挑む「トゥーランドット」の公演初日が、ミラノ万博開幕日で、首相同席の、生中継される場に居合わせられるなんて、地元ミラネーゼでもなかなか経験できない体験だと思われます。ちょっと背伸びしすぎちゃったかな、という感も否めない最高の経験ができて幸せでした。ミラノに来て良かった。
スカラ座は、今まで経験したヨーロッパのオペラ座やクラシックコンサート会場の中でも、群を抜いて高級感あふれる華やかな場なので(しかし公演内容は先端を行く舞台デザイン)、豪華なオペラらしさを体験したければ、やはりまず目指すべき場所なのだろうと思います。
☆おまけ[スカラ座チケット入手体験記]
世界中のオペラファンの憧れの地であるスカラ座。まともな席で見ようと思うと正規価格でも結構なお値段な上に、人気演目はすぐに売り切れてしまうので、我々のように一週間前に旅行を決めたような者がチケットを入手しようと思ったら、ネットのチケット販売サイトなどから正規価格の2〜3倍の値段で購入するしかありません(公式チケットのキャンセルも可能なのでずっとインターネットのチケット画面に張り付いていればたまにキャンセルチケットが出たりするみたいですが。。)。
私が利用したサイトは、ウィーンフィルのチケットを購入して一応滞りなくチケットを入手できた実績のある、Via gogoという下記サイトです。
このサイトは、個々人(業者もいるでしょうが)がネット上でチケットを販売するのを仲介しているだけのサイトですが、チケットが配達されないなどのトラブルには一応対応してくれます。また、チケット代は注文時にカード決済で引き落とされるものの、イベント完了前までは管理会社が保管し、チケットが配達され無事イベントが終了した段階でチケットの売主にチケット代が支払われる仕組みになっているようです。チケットは自分が指定した住所(旅先であればホテルの住所)に配達されます。このサイトを利用して不安な点は、イベントの超直前(ウィーンフィルの時など1日前)にチケットがホテルに着くことが多いことです。サイトとしても、イベントの1週間前からのチケットの準備・発送がスタンダードであることを明示しており、先物取引のような形態で、チケットを販売してからチケットを入手しているような業者も多いようです。そのためチケットがホテルに発送されたことが確認できない状況で旅行に出発しなければならないなど不安になることが多く、この点でのトラブルが多いようです。もっとも、なんだかんだで2回利用して2回ともちゃんとチケットは届けられたので、私はまあ信頼しても大丈夫なサイトなのではないかと思っています。
今回チケットを買うに際して苦労したのは、座席選びです。調べたところによると、ミラノ・スカラ座は、一番グレードの高い平座席(伊Platea、英Stalls)とボックス席(伊Palchi、英Boxes)の1階部分については、完璧な視野と並び席の確保が保証されるらしいのですが、それ以下のグレードの席については視野が部分的に制限され、並び席も保証されないのだそうです。特に5階以上のボックス席にあたるギャラリー席(伊Gallarie、英Galleries。いわゆる天井桟敷)ではほとんど舞台が見えないこともあるのだとか。そのためか、スカラ座の公式サイトには、ボックス席とギャラリー席については下記のように各席についてどのような視野になっているかをバーチャル体験できるページがあり、これとにらめっこしながら席を決めるのがいいと思います。
http://www.teatroallascala.org/en/book/seating-plan/boxes.html
さてどの席にするか。さすがに一番グレードの高い平座席やボックス席の1階のチケットは高すぎて購入不能でしたが、せっかくの機会に全然舞台が見えないという事態は避けたいです。そこで、Via gogoのチケットサイトで、単に「Boxes」とか「Galleries」とかだけの記述ではなく、きちんと何番目のBoxesで何列目かを記載してくれている良心的な売人が良心的な価格で売っていた、やや端の方の4階部分のボックス席の、1、2列目の並び席確保、というチケットを購入することにしました。席の場所の詳細が記載されていたおかげで、ちゃんと舞台が見える席であることが上記バーチャルサイトで確認できたし、このグレードの席は正規では並び席が保証されていないのに並び席保証で売っているところに売人魂を感じ、信用できる気がしました。
実際、この売人は、きちんとイベントの3日前にはホテルにチケットを届けてくれたし、立ち見席をぼったくり価格で売っていたウィーンフィルのニューイヤーコンサートの際の売人に比べてかなりちゃんとした売人だったようです(ウィーンフィルの惨事はこちらオーストリア・ウィーン①:ウィーンで迎えるニューイヤー〜ウィーンフィルニューイヤーコンサート〜 - ビーチリゾートとヨーロッパの旅行記)。チケット仲介サイトからチケットを選ぶときは、座席情報の記載ができるだけ詳細なものを選ぶと信用できるかもしれません。
そして上述の通り、予約した端っこのボックス席からの眺めは悪くなかったです。ボックス席を取る場合にこだわった方が良いのは、1列目の席かどうかだと思われ、1列目であれば、舞台の真横のようなボックスでない限り、まあまあの視野が確保できるのではないかと思います。