デンマーク・コペンハーゲン②:ヨーロッパ旅行の終着点、おとぎの運河ツアーで巡る「世界一幸せな国」の静かな日常
北欧デザインと運河の街、コペンハーゲンを巡るのんびり旅行。
今回は、オランダで知り合ったデンマーク人の友人も一押しの、運河ツアーを利用して、おとぎの街と言われるコペンハーゲンの観光要所を巡っていきたいと思います。
出発は、コペンハーゲンを象徴する景観が広がるエリアといわれる、ニューハウンから。
ニューハウンは、街に入り込んだ細い運河の前に、カラフルな木造家屋と船が広がり、おとぎの国の港に来たような、まさにコペンハーゲンらしい景観です。
そんなニューハウンから出ている運河ツアーには2種類あり、1時間ずっと乗車して運河を巡るグランドツアー(The Grand Tour)と、13カ所ある発着所で乗り降り自由なホップオン・ホップオフ(Open top Tours, hop-on hop-off)のツアーがあります。いずれも同じ値段。
私たちは、人魚の像の前で降りてカステレット要塞を巡ったりしたかったので、乗り降り自由なホップオン・ホップオフのツアーを選びました。
乗り降り自由なツアーは1時間ごとにしか出ていないので、チケットを買ってから次の便までニューハウンの運河沿いのレストランでランチをすることにしました。カラフルな家々の前にオープンカフェが建ち並んでいます。
デンマーク料理らしいメニューのレストランのテラス席を確保。対岸の建物もこちら側より少し落ち着いた色合いのカラフルな光景。
ここで頼んだのは、デンマーク料理を代表する小エビのマヨネーズソースがけが、フィッシュフライに乗っかったもの。
お味は、うーん。小エビのマヨネーズソースがけというよりは、マヨネーズソースに小エビがかかっていると言った方が良さそうな、ちょっとマヨマヨしすぎな一品。そしてそのマヨーネーズソースが、キューピーマヨネーズみたいに美味しくない。。
前回紹介したストロイエにあるカフェヨーロッパの、チーズクリームがきついサンドイッチもそうでしたが、デンマーク料理はサラダやマリネにマヨ系のクリームソースがふんだんにかかったような物が多いようです。
さて、ホップオン・ホップオフのツアーの出発時刻が来たので、運河ツアーに出発します。オープンエアの気持ちのいいボートです。
運河に立ち並ぶ古風な船を見ながらニューハウンを進みます。まさにヴァインキングの国という感じです。
ニューハウンを出ると非常に広い運河に出ます。
ちなみに手前の黄色いボートは、市バスの水上バスで、通常の市バス料金なので運河ツアーより安く運河を渡れるようですが、乗車スペースのほとんどが窓付きの室内なので、運河ツアーのオープンエアのボートの方が遥かに気持ちがいいです。
運河にせり出すこちらのモダンな建物は、デンマーク王立劇場。
こちらはオペラハウス。モダンなオペラ座です。
メイン発着ポイントの一つ、人魚の像前に着いたので、私たちはここで一度ボートを降ります。(完全にそのボートを降りなくても、ボートは人魚の像を見たい乗客のために3分間の停船時間を設けていました)
アンデルセン童話の人魚姫に由来するらしい人魚の像。名物らしく人だかりでした。
この辺りは大型船も停留する港になっているようで、奥にはクルーズ船も見えました。北欧クルーズ・・・キラキラした南国ビーチが好きな私は利用することはなさそうですが、それはそれで風流なクルーズが体験できそうですね。
この辺りの陸はカステレット要塞を中心とする整備された緑豊かな地域です。船を操縦する人々が彫られた白石の上には女神の銅像。ヴァイキング時代から、航海の無事を神に祈っていた歴史があるのでしょうね。
カステレット要塞の周りにはお堀が広がります。
堀を超えると現れるカストレット要塞の入り口。
現在は兵隊達の宿舎になっているというカステレット要塞です。
教会もあり、一つの村が形成されているようでした。
このカステレット要塞は上から見るとこんな星の形をしているんだそうです。
カステレット要塞を抜けると、堀の向こうに緑豊かなチャーチル公園が広がります。
堀の水辺に森が映って風光明媚なチャーチル公園。
かと思えばそんな森の空気を吸って深呼吸しているようなシュールな銅像達もいます。
チャーチル公園を出て少し歩くと、前回紹介したデザイン博物館があります。ここのカフェで休憩はマストです。
更に少し歩くと、ウィーンを彷彿させる華麗な丸形ドームのフレデリスク教会が見えます。
中も華麗なフレデリスク教会。そして本当に丸形。
ドーム屋根の内側も華麗。
少し歩きますが、フレデリクス教会の辺りを西に進むと、地元民の憩いの場であるローゼンボー公園にやってきます。
非常に広大な、緑あふれるローゼンボー公園です。
公園の周りはデンマークらしいカラフルな木造家屋に囲まれていて、公園の緑とのコントラストがとても美しいです。
ローゼンボー離宮もあまり目立ちませんが隅っこに一応あります。あくまで市民のための公園がメインです。
人々は平日の昼間からくつろいでいて、本当に静かなときが流れていました。
続いては、再びフレデリクス教会の更に運河沿いにあるアメリエンボー宮殿にやってきました。
現在使われている宮殿なのに、厳格な門もなく、宮殿中央は素通りできる大きな広場になっているアメリエンボー宮殿です。
宮殿自体も質素。女王在宮の印であるデンマーク国旗が掲げられているので、女王様がいらっしゃるようです。
門番の衛兵さん達も居ますが、おしゃべりしながらゆっくり周回。ゆるい感じがいいです。
さて、アメリエンボー宮殿前の運河の発着地点で、ホップオン・ホップオフの運河ボートが来るのを待ちます。乗継ぎ自由のホップオン・ホップオフのツアーは1時間ごとなので、発着地点で結構待たなければならないことが多いことがたまに傷です。
ボート到着。ここで色んなボートを見送りましたが、ホップオン・ホップオフのボートは緑色です。
今度は、ニューハウンを超えて運河を南下していきます。モダンな倉庫街のような建物たち。
メインの運河から一本入った小さな運河にやってきました。
この運河道には、沢山のハウスボートが並んでいました。オランダにもありますが、こういうボートの中に水道や電気を引いて人々が住んでいるんですね。
気になるぐるぐる巻きの金縁の塔。運河沿いの塀では人々が座ってくつろいでいます。
コペンハーゲンらしいカラフルな家並みが続くかと思えば
モダンなエリアにやってきました。
こちらは「ブラック・ダイヤモンド」と言われる黒ガラス張りの王立図書館。
小さな透明なプラネタリウムのようなドームがありますが、どうやらカフェのようです。個性的なカフェです。
どんどん進んで、近代的なビルが広がる大きな運河に出ました。
鋭角すぎて平面に見えるオフィスビル。
ここで街の中心の方に引き返すようです。
クリスチャンボー城を囲む小さな運河域に入ります。この辺りの運河にある橋はとても背が低くて狭いのでボートが入るのがぎりぎりでした。
本当にギリギリ。
さて、運河ツアーの終着点、ガンメルストランドにたどり着きました。
オランダの運河クルーズなどとは違って、かなり見応えのある充実した運河ツアーでした。運河の規模が大きいし、オープンエアが本当に気持ち良かったです。デンマーク人の友人が一押しにしていたのもうなずけます。
しかし、運河の周りはすっかり平日昼間からひなたぼっこをする若者のたまり場になっているようでした。
ちなみに、このクルーズ発着所のガンメルストランドの運河の前にはクリスチャンボー城がそびえ立ちます。
このクリスチャンボー城の塔の上には無料で登ることができ(安心のエレベーター付き)、そのコペンハーゲン一高いという塔の上から、コペンハーゲンの町並みを一望することができます。無料ということで列ができているので、開場時刻の11時前頃に行くといいと思います。
ということで、運河ツアーで巡った「世界一幸せな国」と言われるコペンハーゲンは、緑あふれるのどかな公園たち、素朴な宮殿たち、そして公園やなだらかな運河沿いで平日昼間からのんびりまどろむ人々がいる、美しく穏やかな街でした。街だけでなく、カフェの店員さん、美術館の係員さん、道に迷っているとさりげなく寄ってきてとつとつと教えてくれる道行く地元民など、皆静かで穏やかで、でもきちんと必要な手助けをしてくれる、何とも洗練された国民性だなあと思いました。
オランダにいても感じるのですが、北欧の社会福祉先進国の人々は、そこにいて「世界一幸せ」というよりも、貧富の格差が小さいのと同様に幸せの格差も小さく、特に刺激がなく豪奢した生活をしなくても、素朴な日常で満足する精神性が身に付いているのではないかなあと思います。穏やかな人が多いのも、満ち足りているということもありますが、何かを渇望してもこれ以上「成長」というものが見込めないほどに社会が成熟しきっている結果であるという気もします。
ヨーロッパのそんな成熟したイメージに憧れて、滞在先にヨーロッパを選び約2年間様々な国を旅してきた私としては、最後にその成熟の極地のような北欧に来ることができ、一つの旅行生活の終着点を迎えたような気がします。
ただ、こうして成熟しきったヨーロッパを満喫しきったところで、そろそろもう少し動きのある自分の文化圏に戻りたい気持ちが強くなってきました。まだまだ成長の余地があるアジア、美味しいご飯がある日本、がやがやしたはちゃめちゃな東京。またあの熱気の中でガツガツ働く一員となって過ごす日々が恋しくなってきたところで、ヨーロッパ旅行記に一区切り付けて、日本に帰ろうと思います。
今後はこれまでほどの旅行をこなすことは困難になると思いますが、次はアジアのビーチリゾートなど制覇してみたいと思っていますので、引き続きたまにご愛読いただければと思います。