チェコ・プラハ②:おとぎの国、プラハで過ごす年末年始〜音楽・美食、お籠り編
おとぎの国のようなプラハの街歩きは素晴らしかったですが、実は寒くて長時間耐えられるようなものではなく、今回の旅のメインはお籠りで楽しめる音楽や美食にありました。
ということで今回はプラハで過ごした音楽三昧の記録を綴って行きたいと思います。
プラハではとにかく年がら年中至る所でオペラ、バレエ、オーケストラ、室内楽など様々な音楽行事が開催されており、演目も誰もが聞いたことがあるようなスタンダードなものが多い上にとても値段が安いので、私のような一般人が気軽に音楽を楽しむことができます。私は下記のサイトなどでプラハのどこでいつ何のコンサートが行われているかをチェックし、全て予約して行きました。予約しなくてもふらっと入れる教会コンサートなどは多いと思いますが、オペラ座など有名どころは予約しておいた方が安心だと思います。
http://www.pragueexperience.com/opera_concerts/opera_concerts.asp
まずは、今回最もお世話になった、プラハ本駅からほど近い場所にある国立オペラ劇場。ホテルもここから近い場所、という条件で選びました。
チェコにいるドイツ人がドイツ人のために造った、というオペラ座です。確かにハプスブルク風のクラシカルな華やかさでした。
私はここで、オペラ「カルメン」、「蝶々夫人」、そしてバレエ「白鳥の湖」と3つの演目を見に3回通いました。席も端のボックス席から正面バルコニー席まで経験。やっぱり正面バルコニー席が一番見やすいですね。
正直バレエはイマイチだったのですが、オペラは素晴らしかったです。特に日本が舞台のオペラ「蝶々夫人」はもう感動で最後は私を含め回りの女の人たちが皆号泣していました。演出も細部までこだわっていて、笑いもありとても面白かった。東欧の役者さんは小柄で黒髪・黒目なので、着物を着ると日本人になりきってしまうので、大河ドラマを見ているような完成度で、そこも良かったと思います。ただ、舞台の上の字幕の英語版を見ていると、「お上」が「O' God」、「坊主」が「Bonze」等と吹き出してしまう英訳があったのはご愛嬌。
拍手喝采のフィナーレでした。
ちなみに、国立オペラ劇場の周辺は閑散としていてあまり気軽に入れるレストランなどがないのですが、私が泊まったホテルショパンから国立オペラ劇場までの行き道にあるこちらのシャーウッドSherwoodというバーのようなレストランは、夜遅くまでやっていて料理も美味しく大変助かる存在でした。
チェコ料理らしいがっつりお肉とじゃがいも団子のような添え物の一皿、美味でした。
続いては、国立オペラ劇場との対比で見ると面白い、モルダウ川沿いの国民劇場。
こちらはハプスブルク支配に対抗して「チェコ語によるチェコ人のための舞台を」というスローガンでチェコ文化復興の象徴として建てられた劇場だそうです。内装もチェコ人芸術家達が手がけたそう。
確かに天井などもどこか民族色のあるエキゾチックな作りです。
しかし残念ながら、ここで見たバレエ「くるみ割り人形」はバレエというよりはパフォーマンスが激しい劇のようなちょっと期待とは違うものでした。毎年恒例の子供向けの「くるみ割り人形」で、「クリスマスキャロル」の物語とミックスされた特別なものらしいので、地元のクリスマスのお祭りの一部のようなものだったのかもしれません。値段も国立オペラ劇場の半額以下でした。
ちなみにこの国民劇場の向かいには、モルダウ川に面した老舗カフェ「カフェ・スラヴィア」Cafe Slaviaがあります。
カフェやケーキの他、チェコ料理の軽食も食べられます。軽食の味はまあまあ。
さて、壮大な箱ものコンサートに続いては、教会やお城など至る所で静かに開かれている室内楽です。
まずはプラハ城内のロブコヴィツ宮殿で開かれていた室内楽コンサート。
演奏する部屋の前にはなぜかベートーヴェンが静かに!と注意喚起。
ピアノとフルート、ビオラの3者によるこじんまりとした三重奏でした。演目は有名なものが様々。
ちなみに、このロブコヴィッツ宮殿に入っていたカフェのチェコ料理コースメニュー、侮れない美味しさでした。前菜のスープがクリーミィで最高。こういう観光地のレストランて観光客受けするちょうどいいものを用意するのがうまいのかもしれません。
続いては、ユダヤ人地区にあるスペインシナゴークで開かれたコンサート。
アラビア風の装飾の、エキゾチックな内装。ここで弦楽団とヴォーカルの女性が「エヴィータ」を含む有名曲を多数奏でてくれました。プラハ交響楽団のメンバーらしく、とても聴き応えがありました。
天井の凝ったアラビア文様も見事。会場での音の響きも良かったです。
スペインシナゴークで演奏を聴いた後は、向かいにあるコルコフナKolkovnaというチェコ料理レストランで夕食を取りました。
豚肉の部分丸ごと焼きにナイフを突き刺したもの凄いメニューを頼んでしまった。。4分の1切れくらいしか食べきれませんでした。
そして最後のコンサートは、カレル橋近くにあるクレメンティヌム内の鏡の礼拝堂前での弦楽四重奏。ヴィヴァルディの四季など。こちらは国民劇場のメンバーらしく、やはりレベルが高かったです。
ちなみに、このクレメンティヌムの17時からの演奏についてはその一時間前のクレメンティヌムツアーにもセットで申し込むことができ、鏡の礼拝堂の他、図書の間や子午線観測室を見学した後、天文台からプラハの街のこの絶景を一望することができます。
クレメンティヌムのコンサートの後は、近くのカジュアルレストラン、ウ・クニホヴニーU Knihovnyで夕食にしました。
地元学生御用達というだけあり、安くてボリューミーでちょっと雑な感じの料理がでてきました。でもチェコ料理伝統のぎとぎと感がなくあっさりしていたので、チェコ料理続きでもたれ気味だった胃に優しいお店で満足でした。
以上、プラハの音楽はどれも観光用の枠を超えたレベルの高いもので、寒い冬のお籠り娯楽に最適でした。
もっともプラハには音楽コンサート以外にも多くのお籠り娯楽があります。
例えばホテルショパンのすぐ近くにあったムハ美術館とか。
ショップが建ち並ぶナ・プシーコピェ通りにある共産主義博物館とか。
ちなみに、オランダで知り合ったチェコ人やハンガリー人の友人が、「私たちの世代のロシア人が何をした訳じゃないけど、私たちはロシアを許せないの。私たちの国をめちゃくちゃにしたのよ」と語気を強めて語っていました。やはり難しい歴史のようです。一方で、ハプスブルクについてどう思うか訪ねてみたら、「私たちの誇りよ」と言っていました。豪華な遺産の数々を残したハプスブルクについては、自分たちの歴史の一部となっているようでした。
プラハではお買い物もできます。ナ・プシーコピェ通りにあるショッピングセンター。
まだクリスマス気分が抜けない華やかなショッピングセンターでした。
ちょっと観光用っぽいけど美味しかったチェコ料理レストランの一つ、アールヌーヴォー様式の市民会館の地下に入っているプレゼニュスカー・レスタウラツェPlezenska Restaurance。
雰囲気のある店内です。ここのお店はウェイターさんごと日本のガイドブックに乗っており、そのガイドブックを持って入ると、彼が載っているんだよ〜と言って担当のウェイターさんが同僚のその人を連れてきてくれたりと、日本人フレンドリーなお店でした。
伝統のチェコ料理も沢山ありますが、ハヤシライスなど親しみやすい料理も多く、ここにくれば肉!肉!しいチェコ料理以外のほっとする料理も食べられると思います。
そして更に食傷気味になったら、旧市街にあるこのカントリー・ライフCountry Lifeというベジタリアンカフェテリアでデトックスすると良いと思います。
セルフサービスで選ぶ形式なので見た目に分かりやすくて選びやすいし、特にベジタリアンでない私でもどれも食べやすい味付けでした。
ということで、冬のプラハは音楽三昧、お籠り三昧で過ごすのに向いているおとぎの街でした。食事はちょっと肉肉しすぎて味もこってりなので、ブダペストの料理の方が好きでしたが、音楽コンサートの種類の豊富さは随一だと思います。しかもどれも豪華絢爛な会場で、分かりやすい演目を、一流の音楽家達が演奏してくれているので、クラシックの導入に訪れるのにもいい街だと思いました。プラハで過ごす年末年始、お勧めです。