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ビーチリゾートとヨーロッパの旅行記

2013年から2015年にかけてビーチリゾートとヨーロッパを旅行しまくった海好き女の旅行記です。帰国後は主に日本の美ビーチを巡っています。

イタリア・ミラノ③:スカラ座でトゥーランドット〜誰も寝てはならぬプレミアな夜

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年末年始のプラハでオペラの良さに目覚めた私。せっかくミラノに来るのなら、ぜひともオペラの殿堂、スカラ座でオペラを見てみたい。

しかも、我々の滞在中はあのプッチーニのオペラ「トゥーランドット」が上演されていました。トゥーランドットと言えば、男性の主役が歌う「誰も寝てはならぬ」の旋律がとても美しくてオペラの代表曲の一つのようなものですし、スケートの荒川選手がトリノオリンピックで金メダルを取ったときのプログラムでもある日本人にもなじみ深い曲です。それを本場スカラ座で聞けるなんて、このチャンスを逃したら一生後悔するかもしれません。

 

ということで、ミラノ旅行を決めた一週間前の直前にどうにかチケットを入手して、ミラノ・スカラ座に行って参りました。[☆チケット入手体験記は末尾に記します]

こちらはお昼に下見に来たときのスカラ座の姿。

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壁に貼られていた今夜開幕のトゥーランドットのプログラム。これを見られるんだ。。と思ってわくわくして夜まですごしたものです。

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しかし、いざ夜にやってくると、何やらスカラ座前が警備員だらけの厳戒態勢で、回り道をしてチケットを見せてようやく近くの道路に入ることができる状況でした。そしてスカラ座の入り口前はこの人だかり。f:id:lazytraveler:20150603232142j:plain

どうやら、イタリアの首相も観劇にやって来る日だったらしく、そのための厳戒態勢のようです。そして偶然にもイタリア首相が入場する瞬間に立ち会えました。

 

正面を横切る瞬間を撮れました、イタリア首相、マッテオ・レンツィ氏。若いんですね。

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今日は図らずも、トゥーランドットの公演初日、しかもミラノ万博開幕日だったので、どうやら特別なプレミア公演だったようです。

 

そのため、マスコミが押し寄せていて、テレビ中継が行われていました。

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今日の公演の模様は、イタリア全土で生中継されていたようです。まさに記録に残るプレミア公演だったんですね、感激。

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さて、そんな特別な夜のスカラ座の、自分たちのボックス席へ。。うわあ。壮観です。舞台意外の会場を見渡すことも、一つの「ショー」のようなレベルです。

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正面のバルコニー席にはイタリア首相一家。左端の白いティアラをした可愛らしい娘さんは、まだ幼いせいかオペラがつまらないらしく、終始ぶすっとしていて首相がご機嫌を取っていて微笑ましかったです。

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こうして大衆に見られてしまうのもバルコニー席のロイヤルデューティーですね。。かつて貴族達が社交のためにオペラに訪れていた時代には、各ボックス席に陣取る貴族達が他の客から「見られる」ことも一つの重要なショーだったそうで、豪華なドレスを着てはり合っていたんだそうです。

 

さて、そんなショーとは無縁な隅っこのボックス席の我々の心配事は、ちゃんと舞台が見られるかどうかですが、この通り、端っこは少し切れますが悪くない視界です。

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しかしそれも一列目を確保したからこそ。我々のボックス席は2列4席からなるボックスで、私と友人が1列目を占拠しましたが、2列目の人たちは普通に座っていたら明らかに我々が邪魔でほとんど舞台が見られない席でした。しかし、どうやら我々の後ろに座っていた男性二人組はいわゆる「天井桟敷」※と呼ばれる人たちのようで、そんな席でどうやって舞台を見るかも手慣れた様子で、ぐいぐい我々に覆いかぶさるように乗り出してきてしっかり舞台を見ており、しかも時々役者と一緒にメロディーを口ずさんだり、「ちっ!」とか「わお!」とか評価を歓声にして表現していました。

※「天井桟敷」というのは、年間チケットを買って毎日のようにギャラリー席に通いつめる目の肥えたオペラオタクのことで、素晴らしい演技には歓喜乱舞の大歓声をおくる一方、不出来な演技には「恥を知れ!ここはスカラ座だぞ」等と言ってブーイングをするような人たちのことだそうです。スカラ座天井桟敷はとりわけ厳しいとか。

 

さて、公演初日の行事なのか知りませんが、最初に全員起立してイタリア国歌を斉唱した後、いよいよトゥーランドットが始まりました。写真は会場で購入したガイドブックより。

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このとおり、とても斬新な、ゾクゾクするような舞台セットや衣装でした。氷のように冷酷無比な姫・ドゥーランドットに一目惚れし、失敗すれば処刑されることを覚悟の上で姫の結婚相手に名乗りを上げ、姫が用意する謎解きに挑む異国の王子・カラフ。

 

このカラフの挑戦を見守る「群衆」の表現方法が独特で秀逸だと思いました。皆が一様に黒い服と黒い帽子に同じ仮面をつけたような不気味な集団。

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姫の配下の官僚達にいたってはピエロの格好をしています。「聴く」だけでなくヴィジュアルで楽しめる比率の高い舞台でした。

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ちなみに、近年の各国のオペラ座では舞台の上に字幕が表示されることが多いですが、最後までその流れに逆らっていたというスカラ座。ついに導入されたのは、各席の前に表示される小さな字幕だったようです。イタリア語と英語が選べますが、これを見ていては舞台が見れないので、スカラ座でオペラを見る場合は、できるだけ内容を覚えて行った方が良さそうです。

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トゥーランドットには2回休憩が入りましたが、その度に休憩会場に出て、貴族の社交場のような雰囲気にびびりつつも酔いしれました。今までヨーロッパの各地で行ったコンサート会場やオペラ座ではカジュアルな格好の人が多くて今更コンサートで正装なんてしないのかな、と思っていたのですが、ここスカラ座では、プレミアム公演だからかもしれませんが皆びしっときらびやかに決めていました。ちゃんとワンピースを持ってきて良かった。。

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シャンパンやジュースも休憩時間の楽しみの一つです。良心的な価格でした。

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生中継中のテレビは、休憩時間は批評タイム。

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すぐそばで撮影されている司会者たちのやり取りが、会場に設置されたテレビで放映されていました。しかしそんなことに感動しているミーハーは私くらいのもので、皆テレビ局の撮影など気にも留めず社交に興じていました。すごい世界だなあ。

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ちなみに私と一緒に旅行中の友人は、実はもの凄いべっぴんさんなのですが、彼女は私が目を離した隙に(?)地元テレビ局のインタビューを受けていました!さすが美女は万国共通で一目を引くようです。しかし英語インタビューでさすがにビビった美女友人、「今回のオペラはどうですか?」と聞かれ、「トゥーランドット イズ ワンダフル」と答えて逃げてきたようです。よくやった。カットされずに顔だけでも放映されたことを祈ります。

 

さて、物語もいよいよクライマックス。この炎の前で舞うリウという悲劇のヒロインは、主役ではないのに主役のトゥーランドット姫より遥かに観客の心を掴む役柄だからかもしれませんが、この役を演じていた女性歌手へのフィナーレの挨拶での拍手喝采が他の誰よりも大きかったです。

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主役のトゥーランドットやカラフの役者よりも遥かに大きな「ブラボー!」の嵐をもらっていたリウ役の若い女性歌手。スカラ座の耳の肥えた観客の心を掴んだのでしょうか。しかし、今まで行ったオペラとかバレエとかでは、観客はちゃんと順番通りに主役に近づくにつれ拍手を大きくしていき、主役に対して最も大きな拍手を送るのが「礼儀」のような雰囲気があったのですが、スカラ座の観客はさすが批評精神に正直で怖いなあと思いました。トゥーランドット役の女性は拍手の小ささにご機嫌を損ねたのかお辞儀も早々に去って行った気がしました。もっとも、私が素人耳で聞いた限りでは、主役のトゥーランドット姫の方がリウ役の女性よりも声の幅が広くて穏当に上手な気がしたんですがね。

 

いやはやしかし、今回のスカラ座でのトゥーランドット鑑賞は、華やかで、公演内容も素晴らしく、想像以上のスペシャルな夜になりました。スカラ座が現代舞台装置で挑む「トゥーランドット」の公演初日が、ミラノ万博開幕日で、首相同席の、生中継される場に居合わせられるなんて、地元ミラネーゼでもなかなか経験できない体験だと思われます。ちょっと背伸びしすぎちゃったかな、という感も否めない最高の経験ができて幸せでした。ミラノに来て良かった。

スカラ座は、今まで経験したヨーロッパのオペラ座やクラシックコンサート会場の中でも、群を抜いて高級感あふれる華やかな場なので(しかし公演内容は先端を行く舞台デザイン)、豪華なオペラらしさを体験したければ、やはりまず目指すべき場所なのだろうと思います。

 

 

☆おまけ[スカラ座チケット入手体験記]

世界中のオペラファンの憧れの地であるスカラ座。まともな席で見ようと思うと正規価格でも結構なお値段な上に、人気演目はすぐに売り切れてしまうので、我々のように一週間前に旅行を決めたような者がチケットを入手しようと思ったら、ネットのチケット販売サイトなどから正規価格の2〜3倍の値段で購入するしかありません(公式チケットのキャンセルも可能なのでずっとインターネットのチケット画面に張り付いていればたまにキャンセルチケットが出たりするみたいですが。。)。 

私が利用したサイトは、ウィーンフィルのチケットを購入して一応滞りなくチケットを入手できた実績のある、Via gogoという下記サイトです。

http://www.viagogo.com/

このサイトは、個々人(業者もいるでしょうが)がネット上でチケットを販売するのを仲介しているだけのサイトですが、チケットが配達されないなどのトラブルには一応対応してくれます。また、チケット代は注文時にカード決済で引き落とされるものの、イベント完了前までは管理会社が保管し、チケットが配達され無事イベントが終了した段階でチケットの売主にチケット代が支払われる仕組みになっているようです。チケットは自分が指定した住所(旅先であればホテルの住所)に配達されます。このサイトを利用して不安な点は、イベントの超直前(ウィーンフィルの時など1日前)にチケットがホテルに着くことが多いことです。サイトとしても、イベントの1週間前からのチケットの準備・発送がスタンダードであることを明示しており、先物取引のような形態で、チケットを販売してからチケットを入手しているような業者も多いようです。そのためチケットがホテルに発送されたことが確認できない状況で旅行に出発しなければならないなど不安になることが多く、この点でのトラブルが多いようです。もっとも、なんだかんだで2回利用して2回ともちゃんとチケットは届けられたので、私はまあ信頼しても大丈夫なサイトなのではないかと思っています。

 

今回チケットを買うに際して苦労したのは、座席選びです。調べたところによると、ミラノ・スカラ座は、一番グレードの高い平座席(伊Platea、英Stalls)とボックス席(伊Palchi、英Boxes)の1階部分については、完璧な視野と並び席の確保が保証されるらしいのですが、それ以下のグレードの席については視野が部分的に制限され、並び席も保証されないのだそうです。特に5階以上のボックス席にあたるギャラリー席(伊Gallarie、英Galleries。いわゆる天井桟敷)ではほとんど舞台が見えないこともあるのだとか。そのためか、スカラ座の公式サイトには、ボックス席とギャラリー席については下記のように各席についてどのような視野になっているかをバーチャル体験できるページがあり、これとにらめっこしながら席を決めるのがいいと思います。

http://www.teatroallascala.org/en/book/seating-plan/boxes.html

 

さてどの席にするか。さすがに一番グレードの高い平座席やボックス席の1階のチケットは高すぎて購入不能でしたが、せっかくの機会に全然舞台が見えないという事態は避けたいです。そこで、Via gogoのチケットサイトで、単に「Boxes」とか「Galleries」とかだけの記述ではなく、きちんと何番目のBoxesで何列目かを記載してくれている良心的な売人が良心的な価格で売っていた、やや端の方の4階部分のボックス席の、1、2列目の並び席確保、というチケットを購入することにしました。席の場所の詳細が記載されていたおかげで、ちゃんと舞台が見える席であることが上記バーチャルサイトで確認できたし、このグレードの席は正規では並び席が保証されていないのに並び席保証で売っているところに売人魂を感じ、信用できる気がしました。

実際、この売人は、きちんとイベントの3日前にはホテルにチケットを届けてくれたし、立ち見席をぼったくり価格で売っていたウィーンフィルのニューイヤーコンサートの際の売人に比べてかなりちゃんとした売人だったようです(ウィーンフィルの惨事はこちらオーストリア・ウィーン①:ウィーンで迎えるニューイヤー〜ウィーンフィルニューイヤーコンサート〜 - ビーチリゾートとヨーロッパの旅行記)。チケット仲介サイトからチケットを選ぶときは、座席情報の記載ができるだけ詳細なものを選ぶと信用できるかもしれません。

そして上述の通り、予約した端っこのボックス席からの眺めは悪くなかったです。ボックス席を取る場合にこだわった方が良いのは、1列目の席かどうかだと思われ、1列目であれば、舞台の真横のようなボックスでない限り、まあまあの視野が確保できるのではないかと思います。