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ビーチリゾートとヨーロッパの旅行記

2013年から2015年にかけてビーチリゾートとヨーロッパを旅行しまくった海好き女の旅行記です。帰国後は主に日本の美ビーチを巡っています。

イタリア・ミラノ②:ばんぱく、ばんざい。ミラノEXPO2015

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ヴェネツィア発着のクルーズに乗るための中継都市として立ち寄ったミラノ。しかし、ドゥオーモ前の広場を始め、至る所に「EXPO」の看板がでかでかと貼ってあり景観を害しているなあと思っていました。EXPOといえば万国博覧会、通称万博。万博の印象といえば、日本ではその昔大阪で万博が開かれて岡本太郎氏により太陽の塔が建てられたこと、またその大阪万博浦沢直樹さんの漫画20世紀少年のキーワードになっていたことくらいしか認識がありません。そして万博にさしたる興味もないので、ミラノ2日目は近郊の有名な湖水リゾート、コモ湖にでも行こうかと思っていました。

 

しかし夜にホテルのテレビをつけると、昼に訪れたドゥオーモ前の広場での豪華な野外コンサートの様子が中継されていました。

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どうやら万博開幕前夜祭のセレモニーが行われているようです。何と今日は万博開幕前日だったのですね。

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舞台では明日からスカラ座でも公演が開始するプッチーニのオペラ「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」が奏でられていました。歌うのはイタリアを代表するテノール歌手、アンドレア・ボチェッリ。

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そして豪華な共演陣。中国のピアニスト、ランランも来ています。オケはミラノ・スカラ座の楽団だとか。

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何とも豪華絢爛な特別な夜が演出されていました。広場に残っていれば良かった。。そしてこんなにミラノが総力を上げて盛り上げているミラノ万博の開幕初日に偶然居合わせたというのはすごいことなのでは。。と気分が盛り上がり。

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「行こう!ミラノ万博へ!!」

テーマも「食」だというし美味しいものが食べられそう。

 

ということで、次の日、コモ湖の予定を変更して、地下鉄で行って参りました、ミラノ万博の会場へ。会場の最寄り駅は、地下鉄1号線でミラノ中央駅から35分のローフィエラRHO Fiera駅です。

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ローフィエラ駅に着くと、ありました、EXPO2015へ向かう出口。警備員も多く配置されています。しかしその割に人があまりいないような。。

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チケット売り場も閑散としています。混雑時用にロープで列の流れを作っていますが全く無意味。。

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開幕日だというのにさい先が思いやられる閑散ぶりです。ミラノ万博なんて私も昨日まで知らなかったし、広告が足りないのかな?それともそもそもあまり万博に関心のある人がいないのかな?

ちなみに、万博の予習にと思って事前にネットで調べたところによると、地元ミラノでは、大学生らによる万博反対デモが起こったりしていたようです。その理由は、今回の万博は「食」がテーマなのですが、その内容が大企業中心の広告舞台のようになってしまっていて、地元に根ざした「食」がないがしろにされていること、また万博が地元に雇用機会を提供するどころかボランティアを雇って地元民を搾取していることなどが挙げられていました。

何やら曰く付きのミラノ万博。それで人も少ないのでしょうか。。

 

ともあれ、チケットは既にミラノ中央駅で購入済みだったので、そのまま持ち物検査場をくぐって、万博会場へと続く長い橋を通って会場へ向かいます。

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 会場が見えてきました。全長1キロメートル以上の会場です。

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会場に入場後まず始めに目にとまったのは、こちらの国連の展示。

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中に入ってみると、人類の原始的な漁業生活の再現映像から始まり

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色々な穀物を敷き詰めた壁と、食物をデザイナブルに描いた掛け軸の空間

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生態系?を表現したような生物たちの彫刻の間。

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そして食べ物関連項目の証券取引所の電光掲示板?のような空間。

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国連の展示ですよね。。お金がかかってそうなこのデザイナブルな展示たちによっていったい何を訴えたいのでしょうか。。

 

国連のデザイン性の高い展示に??と思いつつ、続いて各国の展示が連なるメイン通りに向かいます。

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テーマが「食」なのだから、さぞや各国の食べ物の出店などで賑わっているのだろう。。とお腹をすかして楽しみにしていましたが、食べ物の出店など全く見当たりません。道にあるのは有志による(と推定)このダンスショーとか

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足長ピエロさんたちとか

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あとはひたすら、各国の展示建物です。

こちらは中国。中国っぽさが出ています。

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韓国。民族衣装を着た人たちもいます。

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タイ。アジア勢はそれぞれ自国らしさを出した思い思いの展示建物でした。

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こちらは派手なエクアドル

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同じく派手に南国植物に囲まれたコロンビア。南米勢は派手好きです。

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ブラジルの展示はなぜか植物の植木の上に大きな縄の編み目が貼られてトランポリン状態になっているもの。登ってみましたが楽しいトランポリンでした。何だか良く分からないけど楽しい、これも南米っぽいです。

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そして最もハコに気合いが入っていたのは中東陣。このクウェートは奇抜でデザイナブルでひときわ目を引きました。

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アラブ首長国連邦。展示に入ってみましたが、嵐の中空をさまようようなダイナミックな映像の世界に巻き込まれる、という感じの5分くらいで終わるものでしたが迫力がありました。食とは何の関係が?という気もしましたが。。

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こちらはカタール。これは豪華なだけでなく少し民族色が出ています。

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周辺にはアラブの正装をした男性陣も徘徊しており雰囲気が出ていました。

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アジア勢や中東勢はかなり気合いをいれた展示建物でしたが、それに比べてヨーロッパ勢はやややる気なし?こちらは屋台骨だけのような木の家のスペイン。

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我が国オランダに至っては、「建物」すら無しの出店の集合体のような「空間」。でもパンケーキの出店が出ていたのはポイント高いです。求めていたのはそういう自国特有の「食」のはず。さすが我がオランダ、地味に的を射ています。

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一方、失礼ながらあまり自国の伝統的食文化というものが想像できないアメリカさまは。。

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メイン展示がオバマ大統領の演説映像!確かにアメリカっぽいです。ずるい。。

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さて、続いては、いよいよ我らが日本の展示にやってきました。立派な展示をしてくれているでしょうか、どきどき。門構えはカラフルな酒樽です。

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そして、展示コーナーのオープニングセレモニーのテープカットを担当するのは、着物を着たキティちゃん。これは外人受けしそうです。キティちゃんは本当に大人気ですからね。。つかみはオッケー。

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しかも日本館の展示は大人気のようで、ただいまの待ち時間30分。

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しかしせっかく来たので頑張って並んで入館します。待っている間に「お弁当スタンプ」なるものを押して遊んでいる人たちも。日本館の各所にあるスタンプ押し場でスタンプを集めるとお弁当の絵が完成するのだそうです。すごい、日本っぽい。

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待つこと30分、いよいよ我々の入館の番です。日本館の展示案内は何と全部で50分もあるらしく、時間単位で区切られて展示ツアーがスタートします。

最初は富士山の絵に描かれた「生を知らず 死を知らず」の論語からスタート。って中国じゃないですか。。

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この絵、論語の言葉を残して次々と変わります。凝ってます。日本からテレビ局のカメラも潜入していました。

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そして次に通されたお部屋は睡蓮の池に囲まれたような空間。照明が様々な色に変化しとても幻想的でした。ここで既に展示のあまりの気合いの入り方にびびり。

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更に部屋を彩る光ががドラマティックに変化していきます。

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ついにはキンキラに輝く人の形をした動物達が舞い始めました。すごい・・・圧巻です。どんな最新の現代美術館に来たのかという感じです。

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もの凄い演出の部屋から出てきたと思ったら今度は食べ物が流れる滝。

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そして「もりぞう」による生態系の説明。アニミズムに和食に「キャラ」に、日本らしいものはフル活用です。

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かと思えば、斜めになった部屋で、不思議な遠近感の食卓の展示。しゃれてますねえ。

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そして、この後は、最後のクライマックス。撮影禁止の大きなホールに通されて、「バーチャルレストランで学ぶお箸の使い方」。立派なレストランのテーブル席のようなところにそれぞれ着席し、劇団四季のようなハイテンションの日本人お姉さんとイタリア人お兄さんの司会のもと、テーブルの各画面にある春夏秋冬のフルコースをお箸で選択してマイレシピをいただくというバーチャルレストラン。最後は司会のお姉さんお兄さんとともに役者達が歌って踊って「和!」のハーモニー。もう、気合いが入りすぎていて口があんぐり、というレベル。いや、すごかったです。日本、存分にアピールできたと思います。

 

50分に及ぶ強烈な展示見学が終わると、日本食レストランに出ます。しかし、もの凄い行列(主にイタリア中(ヨーロッパ中?)から集まったと思われる日本人が大半)のため、ここの利用はあきらめました。

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ちなみに、出店されていたレストランは、和食レストランの他、ココ壱やモスバーガーのライスバーガーなど。まあ確かにこれらが日本でも人気ですから、日本代表として出店されてもおかしくないです。

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それにしても、日本館はちゃんと和食レストランを用意してくれていて立派ですが、他の会場を見渡しても、食の祭典だというのに自国の伝統料理の出店などがほとんどなく、それどころかマクドナルドなどのグローバルチェーン店ばかりが各国の展示に紛れて出店されています。そして他に食べるところもないからか、人々がマクドナルドにひしめき合っています。我々も、しょうがなくイタリア(せめてイタリア)のチェーン店のパニーニャを昼食にしました。これは確かに、ミラノの学生が「大企業のための万博になってしまっている」と抗議デモを起こしたというのもうなずける話かもしれません。

 

一見、華やかな万博。特に開幕日だからでしょう、軍機が常に周回してカラフルな飛行機雲を飛ばしていたり。

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岡本太郎氏を意識したかのような塔が建っていたりしますが

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実は、トイレもほとんどがまだ工事途中のような状況で使用可能な場所が少ないなど、不完全な万博会場でした。

しかも肝心の開催国のイタリアの展示に関しては、イタリア館の建物こそ立派ですが、オープンが間に合わず閉鎖状態の惨事。

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どうやらむしろ予定通り開幕できたことが奇跡のような、準備の進行が遅い状態だったようです。そういうこともあって、入場者も少ない状況だったのでしょうか。

 

9月まで開かれる万博の前途は多難そうな状況でしたが、我々はともかくも日本のびっくり気合いの入った展示を見れてとりあえず満足し、万博会場を後にしました。

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ということで、初の万博体験、しかもミラノでの記念すべき開幕日体験、なかなか考えさせられることが多くて面白かったです。

「食」がテーマといいながら、各国の展示は「ハコ」の豪華さや建物内で見せるデジタル映像などのエンターテイメント性に多大な投資をしていて(国連までもが)、肝心の「食」については日本のように標語的にでも関連づけていればマシな方で、ほとんどはあまり関係がない展示ばかりでした。 そのため、結局資金力の豊富な(かつやる気のある)中東の石油産出国や日本などの大国の展示は豪華な見栄えのするものになる一方、東南アジアなどあまり資金力のない国の展示が単なるお土産物屋みたいになってしまっていて人気もなく気の毒でした。まあある意味で世界の縮図のようでもありますが。。そして一方で、マクドナルドなどの「食」の大企業が多量に出店し人を集めている。日本の展示もJAが主催して外食チェーン店企業と組んで企画したものだったようですし。まあ、そういうスポンサーのおかげで万博が成り立っているのでしょうが。

これでは、確かにイタリアのようなスローフード先進国の大都市ミラノの学生達が抗議運動を起こすのも無理からぬものです。私も「食」がテーマというからには、それぞれの国の伝統料理が並んでいるものだと思っていました。。(←主に食い意地)。

まあしかし、万博というのがそもそもそういうものなのかもしれません。浦沢直樹さんの漫画、20世紀少年で、世界を動かす悪の親玉となった主人公の小学校時代の「ともだち」が、大阪で開かれた「ばんぱく」に行くことにこだわっていたことが、その悪の親玉の虚栄心のしょうもなさを表す一つのエピソードとして印象的に登場していましたが、漫画で用いられた「ばんぱく、ばんざい。」の言葉の意味が、よくわかった気がしました。

 

さて、とは言っても華やかな場所は魅力的なものです。次は、オペラの殿堂、ミラノ・スカラ座体験記です。