イタリア・ボローニャ:最古の大学街で三食ボロネーゼ
2泊3日の強行北イタリア旅行。
ヴェネツィアの次の旅先は、ヨーロッパ最古の大学街、ボローニャです。ボローニャはご存知ボロネーゼの発祥地でもあります。オランダで知り合ったイタリア人の友人にボローニャ出身者がいて、今回の旅に備えて「ボローニャ食い倒れメモ」をもらってきたので、ボローニャの旅は食い倒れも目的の一つです。
イタリアの高速鉄道frecciargentoで、ヴェネツィア・サンタルチア駅からボローニャに向かいます。
なかなか快適な列車内です。
旅のお供はサンタルチア駅の売店で買ったイタリアらしいレモン味のジュース。イギリスやオランダではヘルシー志向なのか至る所でフレッシュジュースが沢山売られているためあまり普通のフレイバージュースを買うことがなかった最近でしたが、イタリアではフレッシュジュースは滅多に見ません。飲み物は日本に近いでしょうか。
1時間ほどでボローニャ駅に到着。7時でもう真っ暗です。ヨーロッパも冬になってきました。
泊まったのはボローニャ駅から南下してマルティーリ広場を超えて10分ほど歩いたところにあるホテル、ヌオーヴォ ホテル デル ポルト (Nuovo Hotel Del Porto)。
ボローニャは駅から街の中心まで1キロくらいあるので、駅と街の中間くらいにあるという立地で選びました。しかし広さはまずまずでしたが外の音が聞こえたり空調がイマイチだったりと、あまり快適なホテルではありませんでした。ホテル本館の離れにあるアパートメントみたいな古い別館だったためでしょうか、残念。
しかし気を取り直して、ボローニャ出身の友人による「食い倒れメモ」に記載されていた老舗レストランに、早速ボロネーゼを食べに行きます。日本のガイドにもまず登場するリストランテ・ダイアナ。友人曰く「トラディッショナルすぎて私は行ったことがないけど、でも評判の老舗よ」とのことでした。
ボロネーゼとお店特性のボローニャ風お肉煮込み。本場のボロネーゼはスパゲッティーニではなく太麺のタリアテッレが使われるのですね。ボローニャ出身の友人は「『スパゲッティ・ボロネーゼ』って邪道なのよ!」と怒っていました。さて、お味は
まずまず、です。どちらかというとあっさり。日本のこってりミートソースに慣れすぎてしまったかな。でも本場ボロネーゼ、まだまだ他のお店でも試してみたいです。
さて翌日。朝からボローニャ観光に出発。ボローニャの建物は赤茶けた古い建物が多い味のある街並みです。小路にはアンティークのネックレスなどの露天が並んでいます。
駅前から街の中心のマッジョーレ広場に通じるインディペンデンツア通りに出ました。
お祭りの旗・・・?かと思いきや、タルト屋さんの宣伝のようです。自由ですね。
茶系色の大作りの街並み。派手さはないですが、人が大地に根付いて普通に暮らしている落ち着いた街、という感じで安心します。ヴェネツィアの後なので特に。
街の中心、マッジョーレ広場に出ました。結構人がいます。人々が集まるのは街のシンボル、ジガンテと呼ばれる海神ネプチューンの噴水。
広場の正面にどーんとたたずむのは、変わった形のサン・ペトロニオ聖堂。
ゴシック様式とのことですが、そうは見えない単純な作りです。14世紀に建築が開始されて未だに未完成なのだとか。なるほど未完成なのですね。
サン・ペトロニオ聖堂の向かいにあるのは、自由都市ボローニャの証だという、神聖ローマ皇帝下の長官を追い出して市民選出の首長(マジョーレ)のオフィスとなったというポスデタ館。しかし派手に改装中です。
市庁舎も広場に面して建ちます。
市庁舎前でハープを奏でていた若い女性。とても上手でした。おじさん達がホイホイお金を落として行っていました。
市庁舎の裏側は、落ち着いた市民のプチ憩い空間になっていました。
広場を抜けて小路に入ると、やはり赤茶けた建物が並び風情があります。
高級ショッピング街、ガッレリア・カヴールGalleria Cavour。
プラダが何だかカジュアルでかっこいいディスプレイ。日本ではブランドブランドしたイメージですが、こちらでは自国のファッション文化の一つですもんね。
街に複数店鋪あるフルラに至っては、ボローニャがフルラさんの故郷なのだとか。
本屋さんに立ち寄ってみると、宮崎駿監督の特集が大々的にディスプレイされていました。日本のアニメは、イギリスやオランダではあんまりなんですが、イタリアやフランスでは本当に人気だなあと感じます。特にボローニャのような由緒ある進歩的な大学街で認められていると嬉しいですね。
そんなアカデミアの街ボローニャの、観光のメインである旧ボローニャ大学にいざ足を踏み入れます。
旧大学の中庭。
有名な解剖大階段教室。自由都市ボローニャのこの大学では、当時の教会の反対をものともせず世界初の人体解剖をここで行ったのだそうです。
教室には、医者の神様といわれる古代ローマで最も尊敬されていたお医者さんガレノスを始めとする著名な医者・医学者の像が埋め込まれていました。
廊下には歴代の教授や医師達の名を冠した飾り物の数々が展示されていました。
こちらは旧図書室。
非常に古い本が当時のまま保管されていました。
ヨーロッパ最古の大学の図書室の品揃えに感動した後は、小腹が空いたのでボローニャ出身の友人による「食い倒れリスト」に載っているカブール広場にあるジェラテリアへ。
「アリスAlice」という黄色いクリームのジェラートがこの街の定番ジェラートらしく早速トライしました。まろやかで濃厚なクリーム味でした。
さて街歩きを続けます。
至る所に教会があります。今日は日曜なのでミサが開かれていたようで沢山人が出てきます。
ユニークなオブジェのお店。アジア風を取り入れているようです。やはり進歩的な街です。
ボローニャ出身の友人の「食い倒れリスト」に載っているリストランテを発見。ランチはここにします。
ここでもやはりまたボロネーゼ。ん、ここのボロネーゼは結構美味しい!もう少し量が欲しいですが。。結構ちゃんとしたリストランテだったので、パスタは前菜であってメインではないんでしょうね。しかし我々は観光客らしくボロネーゼとワインだけでおいとましました。
民家に面白い落書き。ドー◯君みたいな。
続いては、ドメニコ会の創始者であるサン・ドメニコを祀っているというサン・ドメニコ教会へ。この街の教会はこののぺっとした正面が特色なんですかね。
静寂に包まれた教会の中庭。
ドメニコ会って厳格な教会というイメージですが、そのイメージに合う静かで厳かな教会でした。
さて、再び食い道楽です。このサン・ドメニコ教会の近くに、ボローニャ出身の友人による「食い倒れリスト」に載っている地元民愛用の超おすすめジェラテリアがあるというので、そこを目指してあまり人気のない辺鄙な道を進みます。
ありました、ジェラテリアCastigilione。これは確かにジモティ御用達っぽいです。。
外観は場末っぽいですが店内は可愛らしいパティスリーでした。ここでもボローニャ名物の黄色いクリーム味、アリスを注文。うん、ここは非常に美味でした。
さて、街の中心に戻ります。街のシンボル、ボローニャの斜塔。赤茶けた情緒あるボローニャの街並を上から見渡してみたかったですが、傾斜がきついという498段の階段には登る気にはなれませんでした。
この辺りにもさりげなくフルラがありました。何だか古い雑居ビルにタバコ屋が入るように入居しています。立派になったブランドですが、この街ではそれだけ身近な存在だということでしょうか。逆に格好いいです。
ボローニャ歌劇場。今は何もやっていないようです。若干廃墟ビルのようでした。
この辺りは現ボローニャ大学がある通りで学生街のはずなのですが、ちょっと街並が荒れていて、若干北斗の拳的な雰囲気がありました。ボローニャ出身の友達に、「大学周辺は治安が悪いから気をつけて」と言われていましたが、確かにそんな感じがしました。普通、大学があると街の治安が良くなると言いますが、こんな由緒正しい大学周辺で、なぜそんなことになっているのでしょう。
しかしアカデミアは健在です。ボローニャ大学の中には一般公開されている博物館が幾つもあるようでしたが、我々は自然史博物館に立ち寄ってみることにしました。
不気味な生物の化石のコレクションの数々でしたが、アルドロバンディという16世紀の学者のコレクションで、自然史の世界ではかなり貴重な資料らしいです。
大学博物館を出たこの通りで、ちょっとトラブルが。若い2人組の女性が私に近づいてきて、肩にかけているバックを力づくで奪い取ろうとしたのです。一度振り切っても再び襲ってきました。何とか逃げ切りましたが、衝撃です。私は今までボロボロのバックを片手に旅行していて(←わざとではなく単にボロボロ)、一度もスリやひったくりにあったことがなかったのですが、こんな私でも狙われるこのボローニャ大学周辺の治安の悪さに驚きです。そしてしかもそれが若い女性二人組だなんて・・・
すぐそばにはパトカーが。やはり折り紙付きで治安が悪い場所なんですね。何ででしょ。
気を取り直して最後の観光先、国立絵画館へ。
館内通路には柔らかみのある天井画が施されていました。
宗教画の名作を多数擁する絵画館でした。代表はこのラファエロなど。
さて、そろそろ観光を終わらせてぼちぼち帰る準備をすべき時間ですが、お昼が少なかったので小腹が空きました。そこで最後に、ボローニャ出身の友人の「食い倒れリスト」に記載されている「学生御用達」の格安オステリアに行ってみることにしました。
それがここ、Osteria Dell Orsa。確かに学生御用達っぽい店構えです。。
そして最後まで馬鹿の一つ覚えのボロネーゼを注文。味は格安なので文句ないです。
最後まで友人の「ボローニャ食い道楽リスト」を堪能したところで、ボローニャ空港からオランダへ帰ります。
しかし、食い道楽は空港でも。フィレンツェで食べたVenchiというジェラテリアがボローニャ空港に入っていたので、懐かしくてチョコチップ味を頼みました。これが、もうすごく美味。あっさりして洗練されている味でした。友人お勧めのボローニャのジェラテリアも良かったですが、やはりイタリア全土で人気を博しているチェーン店の味は侮れませんね。。
ということで、ボローニャ出身の友人のティップを片手に、ヨーロッパ最古の大学街ボローニャを堪能しきった一日でした。想像以上に見所が多く、また街並も落ち着いていて美しく、街歩きをしているだけでも楽しい街でした。ヨーロッパ最古の大学を発展させた自由なアカデミアの精神が生き続け、今なお「進歩的」と言われるその街の成熟度が随所から感じられました。ヴェネツィアからも、またミラノからも近いので、ぜひそれら大都市の旅と合わせてでも訪れてみることをお勧めします。